研究課題/領域番号 |
23590032
|
研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
柳田 玲子 広島国際大学, 薬学部, 教授 (80239821)
|
研究分担者 |
岡本 典子 広島国際大学, 薬学部, 助教 (40535580)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 超原子価ヨウ素試薬 / ホフマン型転位 / イソシアネート / カルバメート / アルキン-カルボニルメタセシス / キノロン / cohalogenation / 多置換アルケン |
研究概要 |
1) 酸アミドに対する超原子価ヨウ素試薬の反応で,ホフマン型の転位を経てイソシアネートが生成すると同時にアルコールが求核攻撃しカルバメートが定量的に生成することを見出した.続いてこの反応の応用として,カルバメート中間体とアルデヒドとのアルキン-カルボニルメタセシスを組み合わせたワンポットキノロン合成の可能性を検討した.アミドからHofmann型転位によりカルバメートに変換したのち,アルデヒドとルイス酸であるBF3・Et2Oを加えて反応させると,アルキン-カルボニルメタセシスによりエノンが生成し,次いで窒素原子の分子内1,4-付加が起こり,2,3-ジヒドロキノロンがtrans選択的に得られることを見出した.2) 炭素-炭素不飽和結合への,ハロゲン原子と求核剤の付加反応であるcohalogenationは隣接位にハロゲン原子を含む二つの官能基化を同時に行うことができる有用な反応である.生成するハロアルケンを触媒的カップリング反応に付すことで,アルキンから短工程で多置換アルケンを合成することができる.パラ位に電子供与基を持つアルキニルベンゼンを酢酸存在下,N-iodosuccinimide (NIS) と反応させると,アルキンのcohalogenationが位置および立体選択的に進行することがわかった.反応の立体選択性はアルキン上の置換基に依存し,置換基がアリール基のときはZ体が,アルキル基のときはE体が選択的に得られた.続いてヨードアルケンとアルキンの薗頭カップリングにより,(Z)- および (E)-enynyl acetateをそれぞれ立体選択的に合成することに成功した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は予定通りには進行しているわけではないが,可能な限り計画に沿った研究になるように修正を加えている.そのため達成度としては順調と考えている.
|
今後の研究の推進方策 |
我々が開発した合成方法により立体選択的に合成することが可能となった(Z)- および (E)-enynyl acetateに対し,炭素-炭素不飽和結合を活性化する試薬の存在下,各種反応を試みる予定である.特に(E)-enynyl acetateはどのような反応性を示すのかに興味が持たれる.
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究室内の実験環境は未だ整っているとは言い難い状況のため,その整備が急務である.卒業研究生の人数が多いため,研究室で使用する電子天秤,精密オイルバス,不均一系反応に威力を発揮するスーパースターラー等の備品が不足しているので購入を検討する.またガラス器具類,試薬類等も不足しているためそれらの購入も検討したい.
|