安定した血液供給を維持するために人工酸素運搬体の開発は不可欠である。人工血液には血液型や感染症の問題がなく、長時間保存できるなどの利点がある。ミオグロビンはヘモグロビンと違い、酸素親和性はアロステリック因子や溶液pHの影響を受けない。また、単量体タンパク質なのでヘモグロビンに比べて安定である。しかし、人工血液材料として用いられることはなかった。これはミオグロビンの酸素結合が強すぎるためである。申請者はミオグロビンに適度な酸素放出能を付与して人工酸素運搬体として利用する研究を行った。その結果、コルフィセンという台形ヘム異性体をもつミオグロビンが優れた酸素運搬能をもつことが判明した。
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