研究概要 |
本研究計画の最終年度は、共同研究者から提供を受けた健常人血液試料 (n=479) 中の葉酸類(葉酸、FA;テトラヒドロ葉酸、THF;5-メチルテトラヒドロ葉酸、5-MTHF;5-ホルミルテトラヒドロ葉酸、5-FTHF)の定量を行った。その結果(中央値、括弧内は第1四分位点、Q1および第3四分位点、Q3)は、5-MTHFで477検体から186.0 nM (Q1=121.27 nM, Q3=246.06 nM)、5-FTHFで455検体から 3.61 nM (Q1=2.15 nM, Q3=6.21 nM), FAで399 検体から13.82 nM (Q1=3.48 nM, Q3=7.31 nM)および THF で353 検体から 13.82 nM (Q1=7.88, Q3=45.27 nM) であった。本結果は全血中総葉酸の内、5-MTHFがその主要な成分を占めており(割合79%)、これは既報(85.9%)と一致していた。 研究機関を通してヒト全血中4種の葉酸類の定量が可能なLC-MS/MS法を開発することができた。本法は全血中葉酸類の定量に十分な感度(LOD at S/N=3:0.13-1.10 nM)を有しており、正確さおよび日内・日間測定精度などのバリデーションも良好であった。本法は簡便かつ迅速であり、日常分析における総葉酸類の定量に有用であるのみならず、5-MTHFおよびTHFの定量が可能であったことから、葉酸代謝酵素の1つであるMTHFR変異のスクリーニングにも適用可能であると考えている。
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