研究概要 |
平成23年度は、我々が開発した遺伝子・核酸医薬キャリアであるPAMAMデンドリマー/α-シクロデキストリン結合体(α-CDE)に、さらに癌細胞指向性素子であるPEG化葉酸を新たに修飾した癌細胞選択的なsiRNAデリバリーシステムの構築を企図して、Fol-PαCを新規に構築することを目的に検討を行った。まず、デンドリマーの世代数を3とし、PEG化葉酸の置換度の異なる3種のFol-PαCの調製を行い、またそれと並行して、混合物であるFol-PαCの精製品であるsFol-PαCの調製も開始した。その結果、置換度2, 4, 7の3種のFol-PαCsを調製できた。また、sFol-PαCの原料となるα-CDEの精製をHPLCを用いて行った。現在、Fol-PαCの精製条件等について検討中である。次に、RNAi効果を、pGL3ルシフェラーゼ遺伝子安定発現細胞にsiRNAを導入後のルシフェラーゼ活性を指標にRNAi効果を葉酸レセプター(FR)を過剰発現するKB細胞を用いて評価した。その結果、3種のFol-PαCの中で、置換度4のFol-PαC(DSF4)とsiRNAとの複合体が最も高いRNAi効果を示した。また、このRNAi効果ならびに複合体の細胞取込みは、葉酸の添加により低下したことから、本複合体は、FRを介した細胞取り込み後、RNAi効果を誘導することが示唆された。また、Fol-PαC(DSF4)/siRNA複合体の粒子径およびζ電位はチャージ比20において、それぞれ111 nmおよび9.7 mVであり、本複合体はFRを介した細胞内取込みに有利な物性を示すことが示唆された。さらに、Fol-PαC(DSF4)/siRNA複合体のKB細胞に対する細胞障害性は、市販遺伝子導入試薬に比べて極めて低いことが示された。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度は11,151円の残額がでたが、研究で使用する試薬等は高額のものが多く、1品を購入するには金額が不足していたため、平成24年度のはじめに試薬代として使用する。また、次年度の研究費の使用予定は次の通りである。【総予算】1,311,151円 【消耗品費】合計1,11,151円 CDE 結合体類調製試薬:211,151円; siRNA 試薬 250,000円; 細胞培養試薬 100,000円;抗体・試薬 100,000円; その他 試薬 100,000円; 細胞培養器具 100,000円; その他 実験器具 100,000円; 実験動物 150,000円【旅費】合計150,000円 国内学会:50,000円;国際学会:100,000円【その他】合計50,000円 研究成果投稿料:50,000円
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