研究概要 |
本研究は, 噴霧凝固造粒法を用いて, 胃溶性高分子と低融点物質を使用した苦味マスキング技術, 腸溶性高分子と低融点物質を使用した大腸デリバリー技術, 粒子径の異なる糖を分散させたマイクロポアーによる放出制御技術の確立を試み, 既に報告されている放出制御技術との差別化を図ることを目的としている.・胃溶性高分子/不溶性高分子と低融点物質を使用した苦味マスキング技術の開発胃溶性高分子AMCE, 不溶性高分子ethylcellulose, 低融点化合物グリセリルモノステアレート (GM), モデル薬物acetaminophen (APAP) を使用して, 溶融waxを直径約2cmの円筒形の型に流し込み, 静止円盤を作製後, pH4.0, pH6.5の試験液を用いて, マトリックス表面からのAPAP放出量を経時的に測定した. その結果, AMCE の含有量依存的にpH依存的な溶出profileが認められたが, 特にECを含有した処方において, AMCEのpH依存の溶解性がさらに向上することが明らかとなった. 重回帰分析プログラム(Alcora)を使用し, 目的とする放出制御機能を有する処方の最適化を行った結果, APAP: AMCE: EC: GM = 30: 7: 10: 53が決定できた. 本処方に基づいて調製したディスクからのAPAPの溶出速度を確認したところ, 実測値は予測値とよく一致しており, 目標とした溶出挙動を満たすことが明らかとなった. 現在, これら結果を基に, 実際にアトマイザーを用いて, 100 μm前後のワックスマトリックスの製造に着手している.また, その他, 腸溶性高分子と低融点物質を使用した大腸デリバリー研究, 粒子径の異なる糖を分散させたマイクロポアーによる放出制御の研究においても, 同様な手法で最適解が得られている.
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