研究課題
噴霧凝固造粒法により、 徐放性とpH依存性を組み合わせたワックスマトリックス粒子の調製とその処方の最適化を目的とした。 主薬として消化性大腸炎治療の治療剤である5-アミノサルチル酸(5-ASA)を用い、ワックスとしてトリグリセリンフルベフェネート(TR-FB)とトリグリセリンハーフベフェネート(TR-HB)を選択した。その結果、より疎水性が高いTR-FBを用いて調製したワックスマトリックス粒子では薬物溶出試験開始1440 min後でも、50%程度しか薬物を放出しなかったことから、 本製剤のコンセプトに不向きであると判断した。 そこで、ベヘニル基の半分が水酸基に置換されたTR-HBにより同様の試験を行ったところ、1440min以内で100%の放出を示した。 したがって、本製剤においてはTR-HBをワックスとして選定した。 次に、大腸内を想定したpH7.0で溶解するメタクリル酸コポリマーS-100(S-100)の添加がワックスマトリックス粒子からの薬物の放出挙動に及ぼす影響について検討した。 TR-HBにS-100を添加することで、 pH7.4の条件下において高い薬物放出速度を示した。 また、各原料の粉砕、 非粉砕の条件の違いが薬物放出挙動に及ぼす影響について検討したところ、両方を粉砕した処方では、 高いpH感受性を示すことが明らかとなった。 実験計画法に基づいて処方設計を行い、 目標とする溶出挙動を満たす処方の最適化を行った。実験計画法は5-ASA、TR-HB、S-100の配合比率を3因子とする端点計画を用いた。溶出試験結果を重回帰分析し、求めた多項式を基に、 統計解析ソフトJMPにより、胃と小腸での薬物放出の合算(Y1)、大腸内薬物放出率(Y2)、薬物配合比 (5-ASA ratio)を満足度スコア化し、それぞれ均等な重みをかけ、 満足度より処方を最適化した結果、 コンセプトを満たす処方の最適化に成功した。得られた知見は日本薬学会第134年会(熊本)で発表し、今後、投稿の準備を進めていく。
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