研究課題/領域番号 |
23590055
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研究機関 | 星薬科大学 |
研究代表者 |
斉藤 貢一 星薬科大学, 薬学部, 准教授 (40386347)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際情報交流 |
研究概要 |
α-リポ酸は,痩身を目的としてサプリメントなどへの使用が認可された比較的新しい機能性食品成分の一つであるが,痩身薬としての乱用が懸念され,実際,α-リポ酸摂取によるインスリン自己免疫症候群(IAS)が過去に発生している。また,α-リポ酸は光学活性を有しているが,光学異性体の体内動態は充分に解明されておらず,IASのような健康被害事例に対応するためには,α-リポ酸の光学異性体分析法を構築して,痩身薬として摂取する量を把握する必要がある。またα-リポ酸は薬物乱用のゲートウエイドラッグにもなりうることから,生体試料分析において,迅速に分析する方法を確立することが必要である。本年度の研究では,液体クロマトグラフ/質量分析計を用いたα-リポ酸の光学異性体分離分析法を構築し,痩身目的のサプリメントの分析に適用した。その結果,キラルカラムにCHIRALPAK AD-RHを用いることで,α-リポ酸の良好な光学異性体分離が達成され,また,前処理として液液分配抽出および固相抽出を行うことによって,夾雑物を取り除くことができ,定量性が向上した.実際に数種類の痩身用サプリメントへ適用したところ,光学異性体に関する表記が特に無い製品に関しては,ラセミ体が使用されていることが判明した。また,d-α-リポ酸と表記されながら,l-α-リポ酸が含有されている製品も確認された。当該製品においては,d体の不斉合成が不十分なα-リポ酸の原薬を用いたためl体が混入した可能性や,製造の段階においてd体がl体に変換した可能性も考えられた。これらの結果から,痩身用サプリメント中のα-リポ酸の光学異性体分析法の有用性が示唆され,食品衛生分野および今後の法科学分野における貢献が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べたように,ゲートウエイドラッグになりうる痩身薬成分の光学異性体分析法を構築し,本研究内容について,別紙に示すように学会発表ならびに学術雑誌への掲載を達成した。また,上記以外にも薬物乱用に関連する研究報告を学会発表および学術雑誌にて報告した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に分析対象とした痩身薬の他に,ゲートウエイドラッグとして乱用される恐れのある痩身薬成分についても,迅速で信頼性の高い分析法を構築する。また,比較的に乱用の意識の薄い違法薬物である大麻や,いわゆる「合法ハーブ製品」への使用が危惧されている合成カンナビノイド系薬物などについても,迅速に検出する分析法の構築を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
痩身薬成分や合成カンナビノイド系薬物の分析を行うためには"標準品"が必要となり,更に,液体クロマトグラフ/質量分析計など,高精度な装置で分析を行うためには各標準品の安定同位体や分離分析に必要なHPLCカラムやGCカラムも必要になることから,次年度の研究費は,これら試薬など消耗品の購入を主として当てる。
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