研究課題/領域番号 |
23590063
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
平山 文俊 崇城大学, 薬学部, 教授 (90094036)
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研究分担者 |
庵原 大輔 崇城大学, 薬学部, 助手 (40454954)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 結晶多形 / シクロデキストリン / アセトヘキサミド / 溶液媒介性多形転移 / 包接複合体 |
研究概要 |
固形薬品の結晶多形や転移挙動を明らかにすることは、製剤設計や品質確保において極めて重要である。特に、結晶多形は新規物質とみなされるため、新多形の発見は医薬品開発のみならず、知的財産権の拡大・維持においても重要である。本研究の目的は,薬物の結晶化に対するシクロデキストリンの影響を検討し,新規結晶多形を検出・単離するとともに、その物理化学的性質を明らかにすることである。 具体的には、本年度は、経口糖尿病治療薬であるアセトヘキサミドの結晶化に及ぼすシクロデキストリン誘導体 2-ヒドロキシブチル-b-CyD (HB-b-CyD)の影響、ならびに得られた新規結晶多形の溶解性を検討した。結果を以下に示す。1.アセトヘキサミドを水溶液から再結晶化すると新規結晶多形 (Form VIと命名)が析出した。2.新規結晶多形 Form VI は、他の結晶に比べて、著しく高い溶解度と溶解速度を示した。3.新規結晶多形 Form VI は苛酷条件下で保存すると Form IIIへ転移した。4.溶解度法、NMRスペクトル法による検討結果から、HB-b-CyD はアセトヘキサミドのシクロヘキサン環と強く相互作用することが明らかとなった。 以上の結果より、HB-B-CyDを利用して、アセトへキサミドの新規結晶多形の調製に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は,薬物の結晶化に対するシクロデキストリンの影響を検討し,新規結晶多形を検出・単離するとともに、その物理化学的性質を明らかにすることである。 本年度は、経口糖尿病治療薬であるアセトヘキサミドの結晶化に及ぼすシクロデキストリン誘導体 2-ヒドロキシブチル-b-CyD (HB-b-CyD)の影響を検討し、以下の結果を得た。1.アセトヘキサミドを水溶液から再結晶化すると新規結晶多形 (Form VIと命名)が析出した。2.この新規結晶多形 Form VI は、他の結晶に比べて、著しく高い溶解度と溶解速度を示した。 このように、当初の目的である、シクロデキストリン包接を利用した新規結晶多形の調製に成功し、研究は順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画は以下の通りである。1.アセトヘキサミド新規結晶多形の製剤特性(打錠性,充填性、ぬれなど)を明らかにするとともに、小動物を用いてin vivo 吸収性を検討する。2.他の薬物(例えば、各種バルツール酸誘導体やサルファ剤)についてシクロデキストリン包接を利用した新規結晶多形の調製を検討する。3.結晶成長やウィスカー成長が問題となっている薬物(アセトアミノフェン、エテンザミド、カフェインなど)を用いて、シクロデキストリン包接を利用した結晶外形(晶癖)の制御を企図する。
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次年度の研究費の使用計画 |
アセトへキサミドのin vivo 吸収挙動を詳細に追跡するには、経口投与後の血中薬物濃度を高精度・高感度に測定する必要がある。そこで、次年度の研究費は、主に、分析用カラムや分析に必要は試薬・溶媒などの消耗品の購入にあてる予定である。
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