• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実績報告書

転写因子を用いた糖鎖シグナルの制御によるがん悪性形質の抑制

研究課題

研究課題/領域番号 23590070
研究機関長岡技術科学大学

研究代表者

佐藤 武史  長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (30291131)

研究分担者 古川 清  長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (10190133)
キーワード転写因子 / がん / 悪性形質 / 腫瘍形成 / 細胞運動 / 糖鎖 / 糖タンパク質 / シグナル伝達
研究概要

本研究では、転写因子Sp1の発現制御による糖鎖修飾の変化と、がん細胞の悪性形質の発現との関係を分子レベルで明らかにした。これまでの研究成果から、A549ヒト肺がん細胞においてSp1をノックダウンすると、対照細胞に比べて分子量120 KのE-カドヘリンで糖鎖修飾が変化することを見出した。さらに、Sp1ノックダウン細胞では細胞運動能や腫瘍形成能が著しく低下した。最終年度では、始めにE-カドヘリンとこの分子の裏打ちタンパク質であるβ-カテニンに着目して、Sp1のノックダウンによる細胞運動能の低下のメカニズムの解明を試みた。その結果、Sp1のノックダウンよるE-カドヘリンのN-型糖鎖修飾の変化によって、E-カドヘリン/β-カテニン複合体の形成が促進される一方、β-カテニンのリン酸化が抑制された。従って、Sp1のノックダウンによるこれらの変化によって細胞運動能が低下した可能性が考えられる。次に、ガラクトシル化に関与するβ-1,4-ガラクトース転移酵素 (GalT) I遺伝子の転写制御機構に着目して、この遺伝子の発現が低下するメカニズムを解析した。その結果、この遺伝子のプロモーター領域に見られる2ヶ所のSp1結合部位に変異を導入すると、対照に比べてプロモーター活性が約60%低下した。従って、β-1,4-GalT I遺伝子の転写活性化にはSp1結合部位が重要な役割を果たしており、Sp1のノックダウンによってβ-1,4-GalT I遺伝子の発現が低下することが明らかになった。さらに、Sp1ノックダウン細胞ではEGFレセプターの下流のc-Raf、MEK1/2とMAPキナーゼのリン酸化が低下することが判明した。以上の結果から、Sp1のノックダウンによる糖鎖修飾の変化に加えて、EGFレセプターからMAPキナーゼへのシグナル伝達が減弱することでA549細胞の悪性形質が抑制されるという新しい知見が得られた。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] Gene expression levels of β-1,4-galactosyltransferase V correlate with the tumorigenic potentials of B16-F10 mouse melanoma cells2014

    • 著者名/発表者名
      Shirane, K., Kuji, R., Tareyanagi, C., Sato, T., Kobayashi, Y., Furukawa, S., Murata, T., Kubota, S., Ishikawa, Y., Segawa, K., and Furukawa, K.
    • 雑誌名

      Glycobiology

      巻: 24 ページ: 532-541

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Enhanced expression of the β4-galactosyltransferase 2 gene impairs mammalian tumor growth2014

    • 著者名/発表者名
      Tagawa, M., Shirane, K., Yu, L., Sato, T., Furukawa, S., Mizuguchi, H., Kuji, R., Kawamura, K., Takahashi, N., Kato, K., Hayakawa, S., Sawada, S., and Furukawa, K.
    • 雑誌名

      Cancer Gene Therapy

      巻: 21 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [学会発表] ヒトβ4-ガラクトース転移酵素1遺伝子のプロモーター領域における転写因子Sp1結合部位の機能解析2013

    • 著者名/発表者名
      丹下梨穂、古川清、佐藤武史
    • 学会等名
      第36回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド(兵庫県)
    • 年月日
      20131203-20131206
  • [学会発表] A549ヒト肺がん細胞におけるEGF受容体シグナル伝達とβ4-ガラクトース転移酵素1遺伝子の発現2013

    • 著者名/発表者名
      佐藤武史、丹下梨穂、古川清
    • 学会等名
      第86回日本生化学会大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県)
    • 年月日
      20130911-20130913
  • [学会発表] A549ヒト肺がん細胞におけるβ4-ガラクトース転移酵素3遺伝子の転写制御機構の解析2013

    • 著者名/発表者名
      丹下梨穂、佐藤武史
    • 学会等名
      第86回日本生化学会大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県)
    • 年月日
      20130911-20130913
  • [図書] Lectins/Methods in Molecular Biology2014

    • 著者名/発表者名
      Sato, T.
    • 総ページ数
      印刷中
    • 出版者
      Humana Press
  • [図書] Glycoscience: Biology and Medicine2014

    • 著者名/発表者名
      Sato, T., and Furukawa, K.
    • 総ページ数
      印刷中
    • 出版者
      Springer
  • [図書] Handbook of Glycosyltransferase and Related Genes2014

    • 著者名/発表者名
      Furukawa, K., Clausen, H., and Sato, T.
    • 総ページ数
      印刷中
    • 出版者
      Springer

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi