研究課題/領域番号 |
23590073
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
上田 浩 岐阜大学, 工学部, 准教授 (50253779)
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研究分担者 |
赤尾 幸博 岐阜大学, 連合創薬医療情報研究科, 教授 (00222505)
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キーワード | 三量体G蛋白質 / Rho / RhoGEF / キナーゼ / チロシンリン酸化 / アクチン |
研究概要 |
本研究では、我々が三量体G蛋白質シグナルにより制御されることを見出したRhoファミリー特異的グアニンヌクレオチド交換促進因子(RhoGEF)が、種々のシグナルによりリン酸化されるかどうかについて検討し、そのリン酸化の生理的意義を解明することが目的である。平成23年度に引き続き、我々が同定した三量体G蛋白質βγサブユニット依存的に活性化されるFLJ00018のsrcによるチロシンリン酸化の意義について、さらに詳細に検討した。その結果、FLJ00018がsrcにより直接リン酸化されるのではなく、srcによりリン酸化、活性化されたAblによりリン酸化を受けることが明らかになった。また、FLJ00018のリン酸化チロシンには、このAblのSH2ドメインが相互作用することが明らかになった(現在論文作成中)。一方、two-hybridシステムを用い解析した結果、FLJ00018が、βおよびγアクチンと結合し、FLJ00018の活性を抑制することを見出した。今後、この相互作用に、チロシンリン酸化などがどのようにかかわっているのかについて検討することにより、FLJ00018の活性制御機構の詳細が明らかになると考えている。一方、FLJ00261のsrcによるリン酸化についても、srcの下流で活性化されるAblによりリン酸化されることが明らかになった。現在、この経路の詳細を引き続き検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の当初の計画では、昨年度に引き続きリン酸化部位の同定と生理的意義付けを行うを目的としていたことから、今年度新たにチロシンリン酸化を担うキナーゼを同定した点、また、リン酸化チロシンと相互作用する分子の同定に成功した点などから当初の目的をおおむねクリアしていると考えている。また、さらに現在、他のキナーゼによるリン酸化の有無についても検討をはじめていることからなども計画はおおむね順調に進んでいると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画と上記の達成度を考慮し、最終年度は以下の点について推進する予定でいる。(1)FLJ00018のsrc/Abl経路によりリン酸化されるチロシン残基に結合する分子のさらなる同定とその相互作用によるFLJ00018の機能への影響についての検討、(2)FLJ00261のsrc/Abl経路を活性化する外部刺激の同定と、そのチロシンリン酸化のFLJ00261の活性への影響についての検討、(3)FLJ00018と構造上類似しているKIAA1209の種々のキナーゼによるリン酸化の有無についての検討を種々の細胞の形態変化などの細胞機能とも結びつけて検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度残高542330円と次年度予算額120万円(直接経費)を合わせ、上記の方針に沿って予算執行していく予定である。研究推進のため、ほとんどを物品費として当てる予定でいる。また、最終年度であることもあり、成果を論文掲載や学会発表していく予定でいる。その内訳は、物品費として、140万円を予定しており、一般試薬や細胞培養試薬などに使用する予定である。残り342330円については、学会発表のための旅費及び、論文掲載費および英文校正代として使用する予定である。
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