研究概要 |
高等真核生物におけるRNA干渉による染色体動態制御機構の解明を目指して、独自に発見した線虫ヘリカーゼ様タンパク質DRH-3、およびDRH-3と相互作用することが示唆されたE1タンパク質等に関して、本年度に実施した研究内容と結果を以下に示す。 1. DRH-3とE1タンパク質等の生化学的解析:DRH-3タンパク質を用いてATPaseアッセイ系に関する条件検討を行った。生化学的解析および機能ドメイン解析のための5種類の変異型drh-3遺伝子(C1007A/C1010A, G802E, G840D, T834M, Ndel 370-1119)を作製した。3種類のポリヒスチジンタグ融合変異型DRH-3タンパク質(G802E, T834M, G840D)を大腸菌にて発現させてアフィニティ精製を試みたが、野生型DRH-3より可溶性画分の回収量は大きく低下した。E1タンパク質についてはGSTタグおよびポリヒスチジンタグとも融合タンパク質として精製を行い、メチル化ヒストンとの結合実験のための基礎的な条件検討を行った。また今年度新たにDRHの機能比較のため、DRH-3パラログ(DRH-1)のタンパク質発現を試みたが、発現した殆どのポリヒスチジンタグ融合DRH-1は不溶化した。 2. DRH-3とE1との相互作用部位の解析:プルダウンアッセイによりDRH-3とE1タンパク質間の相互作用を詳細に解析するため、大腸菌発現系による欠失変異型タンパク質の調製を行った。E1タンパク質について、2種類のポリヒスチジンタグ融合Tudorドメイン欠失型タンパク質の作製、発現、精製を行ったが、不溶化のため回収困難であった。野生型タンパク質同士についてはプルダウン法で相互作用を検証している。 3. E1遺伝子機能抑制の表現型解析:E1遺伝子機能抑制に必要なfeeding RNAi用コンストラクトを構築した。
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