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2011 年度 実施状況報告書

環境因子によるマスト細胞の刺激応答の調節

研究課題

研究課題/領域番号 23590077
研究機関岡山大学

研究代表者

田中 智之  岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (40303846)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードマスト細胞 / IgE / 分化 / 共培養 / CD44 / ヒアルロン酸 / JNK
研究概要

本研究の目的は、周辺の細胞や細胞外マトリックス、IgEといった微小環境の因子が、組織に分布するマスト細胞の分化、機能獲得を制御するメカニズムを解明することである。今年度は以下の成果を得た。1)皮膚型マスト細胞への成熟に伴い、IgEを介する抗原刺激により生じるIL-6、TNF-αといったサイトカイン産生レベルが顕著に低下する。一方で、同様の刺激による脱顆粒応答は大きく変化せず、ポリカチオンやサブスタンスPに対する応答性を獲得する。以上の結果は、マスト細胞は成熟に伴い、その刺激応答性をダイナミックに変化させることを示唆するものである。2)マスト細胞と線維芽細胞の共培養において、線維芽細胞のヒアルロン酸合成をヒアルロン酸合成酵素-2のノックダウンにより抑制すると、共培養過程におけるマスト細胞の増殖は3-4倍に増大した。成熟過程におけるマスト細胞の増殖にはCD44が必要であるが、ヒアルロン酸により形成されるマトリックスにはむしろマスト細胞の増殖を制限する機能があることが推察された。3)単量体IgE作用をもつIgEクローンSPE-7を感作し、24時間後に抗原刺激を行う系において、感作濃度が高いほど抗原刺激時の脱顆粒応答が低下することが分かった。この現象は単量体IgE作用の弱いクローンIgE-3では認められなかった。また、JNK阻害剤であるSP600125処理によりこの低下は回復することが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画した研究項目の中では、想定以上に進捗したものと、予想よりは遅れているものがあるが、全体として見た場合はおおむね順調であると判断している。

今後の研究の推進方策

当初の計画に従い、進捗の遅れている項目に重点をおいて研究を推進する。1)成熟マスト細胞の刺激応答性について、抗原刺激以外の刺激因子についても引き続き検討し、また刺激応答性のダイナミックな変化が生じるメカニズムについて解析する。2)マスト細胞の成熟を制御する転写因子の候補について、強制発現系、ノックダウン等の手法により解析を行う。3)IgE感作により起こるシグナル伝達に着目し、抗原刺激時の脱顆粒応答低下のメカニズムを解析する。

次年度の研究費の使用計画

計画通り消耗品費を中心に研究費を使用する予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Restriction of mast cell proliferation through hyaluronan synthesis by co-cultured fibroblasts.2012

    • 著者名/発表者名
      Takano, H., Furuta, K., Yamashita, K., Sakanaka, M., Itano, N., Gohda, E., Nakayama, K., Kimata, K., Sugimoto, Y., Ichikawa, A., and Tanaka, S.
    • 雑誌名

      Biol. Pharm. Bull.

      巻: 35 ページ: 408-412

    • DOI

      10.1248/bpb.35.408

    • 査読あり
  • [学会発表] ヒスタミンを介するマスト細胞の顆粒成熟2012

    • 著者名/発表者名
      田中 智之
    • 学会等名
      第85回日本薬理学会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2012年3月15日
  • [学会発表] マスト細胞の顆粒形成におけるヒスタミンの機能2011

    • 著者名/発表者名
      田中 智之
    • 学会等名
      第84回生化学会大会(招待講演)
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2011年9月21日
  • [学会発表] マスト細胞の顆粒成熟におけるヒスタミンの機能2011

    • 著者名/発表者名
      田中 智之
    • 学会等名
      第33回生体膜と薬物の相互作用シンポジウム
    • 発表場所
      岡山
    • 年月日
      2011年11月24日
  • [学会発表] マスト細胞の機能制御とヒスタミン2011

    • 著者名/発表者名
      田中 智之
    • 学会等名
      第61回日本アレルギー学会(招待講演)
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011年11月12日
  • [学会発表] マスト細胞の成熟過程におけるヒスタミンの機能2011

    • 著者名/発表者名
      田中 智之
    • 学会等名
      第15回日本ヒスタミン学会(招待講演)
    • 発表場所
      盛岡
    • 年月日
      2011年10月21日
  • [備考]

    • URL

      http://www.cc.okayama-u.ac.jp/~tanaka-s/

  • [産業財産権] 成熟マスト細胞の製造方法2011

    • 発明者名
      田中 智之
    • 権利者名
      岡山大学
    • 産業財産権番号
      特許: 特願2011-209585
    • 出願年月日
      2011年09月26日

URL: 

公開日: 2013-07-10  

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