研究課題
本研究の目的は、周辺の細胞や細胞外マトリックス、IgEといった微小環境の因子が、組織に分布するマスト細胞の分化、機能獲得を制御するメカニズムを解明することである。今年度は以下の成果を得た。1)骨髄由来培養マスト細胞(BMMC)を幹細胞因子存在下、線維芽細胞と共培養して得られる皮膚型マスト細胞(CTMC-like MC)では、抗原刺激時の炎症性サイトカイン産生が顕著に減弱した。このとき、Aktのリン酸化レベルは抗原刺激によりむしろ低下したことからホスファターゼに着目した。Aktの脱リン酸化に関わることが報告されているPP2Aの阻害剤であるオカダ酸は、BMMCでは抗原刺激時のAktのリン酸化を増強し、IL-6産生を増大させたが、CTMC-like MCではIL-6産生を増強することはなかった。以上の結果は、マスト細胞の成熟により抗原刺激時に活性化されるシグナル伝達経路が変化することを示唆するものである。2)ステロイド性抗炎症薬であるdexamethasone (DEX)存在下、皮膚型マスト細胞への分化誘導を行ったところ、compound 48/80、あるいはsubstance PといったIgE非依存性の刺激に対する脱顆粒応答が顕著に抑制されたが、抗原刺激による脱顆粒応答は変化しなかった。マウス皮膚にDEXを連続塗布した場合には、抗原刺激、compound 48/80刺激いずれに対する脱顆粒応答も抑制された。DEXは成熟マスト細胞の刺激に対する応答性を低下させることが新たに明らかとなった。
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