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2011 年度 実施状況報告書

イノシトールリン脂質脱リン酸化酵素欠損細胞を用いた小胞輸送系の解析

研究課題

研究課題/領域番号 23590078
研究機関広島大学

研究代表者

櫨木 修  広島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80142751)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードイノシトールリン脂質 / RAW264.7 / 貪食 / 72-5ptase / SHIP-1 / SHIP-2
研究概要

本研究は, 食作用・飲作用の過程を制御するイノシトールリン脂質代謝酵素ネットワークの全貌を理解することを目的としている。このために,特定のイノシトールリン脂質脱リン酸化酵素に特異的な shRNA を安定発現させた一群の細胞クローンを作成し,食作用・飲作用に伴う小胞膜輸送の変化と細胞内リン脂質の時空間的挙動の変化を網羅的に解析していく予定である。平成23年度においては,RAW264.7 細胞を親細胞とし,イノシトールリン脂質 5’-位脱リン酸化酵素(72-5ptase, SHIP-1, SHIP-2, synaptojanin, SKIP 等)の欠損細胞を作成し,これらの細胞が IgG 受容体を介して赤血球を貪食する過程における PtdIns(3)P の動態を解析した。最も興味深い知見は,貪食時に形成された食胞の表面に出現した PtdIns(3)P の寿命が 72-5ptase 欠損細胞においては顕著に低下しているというものである。このとき,貪食量自体は変化していない。この現象は 72-5ptase 欠損細胞に特徴的なものである。対照的に,同じ 5’-位脱リン酸化酵素であっても SHIP-1 や SHIP-2 の欠損細胞では,貪食量は変化するものの PtdIns(3)P の寿命には変化がない。本知見は,5’-位脱リン酸化酵素の各アイソザイムの間には,食胞の形成から成熟に至る過程における役割分担があることを示したものである。今後,72-5ptase が PtdIns(3)P 量を制御する機構と現象の生理的意義を明らかにする必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

全てのイノシトールリン脂質脱リン酸化酵素について欠損細胞を作成するという企画の中で,5’-位脱リン酸化酵素欠損細胞の作成は順調に進んでおり,貪食時の PtdIns(3)P の時空間的挙動に与える影響の違いという新知見も得られている。平成23年度に予定した実験計画の中で 4’-位脱リン酸化酵素欠損細胞の作成はやや遅れているが,近々にクローニングを終了し,解析に移る予定である。

今後の研究の推進方策

5’-位脱リン酸化酵素の各アイソザイム間の役割分担については,赤血球のみならず異なるサイズや物性をもつ分子の取込み時における種々のイノシトールリン脂質の挙動の変化を引き続き解析していく。興味深い挙動を示す 72-5ptase 欠損細胞については,特に詳細な検討を行う。また,実験計画どおり,3’-位脱リン酸化酵素の各アイソザイムを欠損した細胞の作成にとりかかる。

次年度の研究費の使用計画

本研究では,多種類の細胞クローンを作成する関係上,多量の『遺伝子操作関連試薬』『トランスフェクト試薬』『細胞培養試薬・器具』『ウェスタンブロット用抗体・検出試薬』等を使用する。 平成23年度(研究初年度)においては,これらの一部について研究室の在庫を利用することができたため,残額が生じている。平成24年度の研究は当初の計画どおり遂行する予定であり,残額 317,397 円は上記消耗品の新規購入に充填する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Phosphoinositide 3-kinase{gamma} controls the intracellular localization of CpG to limit DNA-PKcs-dependent IL-10 production in macrophages2011

    • 著者名/発表者名
      Hazeki K, Kametani Y, Murakami H, Uehara M, Ishikawa Y, Nigorikawa K, Takasuga S, Sasaki T, Seya T, Matsumoto M, Hazeki O
    • 雑誌名

      PLoS ONE

      巻: 6 ページ: e26836

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0026836

    • 査読あり
  • [学会発表] マクロファージの貪食機能に対する PI3K サブタイプ特異的阻害薬の作用2011

    • 著者名/発表者名
      石川由紀、櫨木薫,濁川清美,櫨木修
    • 学会等名
      第50回日本薬学会中国四国支部学術大会
    • 発表場所
      高松
    • 年月日
      2011年11月13日
  • [学会発表] PI3Kγによる非メチル化 CpG の細胞内局在と IL10 産生の制御2011

    • 著者名/発表者名
      上原政文,櫨木薫,濁川清美,櫨木修
    • 学会等名
      第50回日本薬学会中国四国支部学術大会
    • 発表場所
      高松
    • 年月日
      2011年11月13日

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公開日: 2013-07-10  

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