研究概要 |
ヒトの歯肉上皮腫瘍由来の株細胞Sa3を培養皿上で培養し、ウシ胎児血清を除去後、飽和アルキルエーテル亜種(C16)あるいは飽和アシル亜種(C16)のリゾホスファチジルコリン(0.25%ウシ血清アルブミン含有生理食塩水)溶液を添加後、一定時間(0.5, 1 3, 6時間)インキュベートを行い採取した培養上清中のコリンを定量するリゾホスホリパーゼD活性の簡便な測定法を構築した。この方法を用い、既知のエキソリゾホスホリパーゼD(オートタキシン)阻害剤 (S32826, HA130, BrP-LPA)の効果を調べたところ、予想とは異なり、BrP-LPAとS32826が高濃度でのみlysoPLD活性を弱く抑制し、HA130は無効であった。しかし、ヒトやBALB/cマウスのヘパリン血漿やBALB/cマウスのヘパリン血液中のオートタキシンのリゾホスホリパーゼD活性は、これら阻害剤により, すべて顕著に阻害された。これらの結果は、本検定系がエクトリゾホスホリパーゼDの検定として妥当であること、及び、口腔粘膜上皮に存在するオートタキシンと異なるタイプのリゾホスホリパーゼDが唾液等の口腔内体液に含まれるLPCを絶えず捕捉し、創傷治癒や粘膜保護作用を持つLPAを恒常的に産生していることを示唆している。
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