リゾホスファチジン酸〔LPA〕は、最近、脚光を浴びているリゾリン脂質メディエーターであり、6種の特異的受容体を介して多彩な生理作用を発揮する。 本研究で、健常者の歯肉溝浸出液(GCF)に混合唾液の濃度より一桁も高い濃度でLPAが存在していること、及び、歯周病患者のGCFでLPA量が激減していることが、液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析法で明らかとなった。健常者と比べて歯周病患者のGCFではLPAを分解する酵素が高値であることが、その主因であった。LPAは骨リモデリングに関与しており、GCFを含む歯槽骨近辺でのLPA枯渇が骨吸収に寄与し歯周病を悪化させている可能性が強く示唆された。
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