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2011 年度 実施状況報告書

時計遺伝子BMAL1による脂肪細胞機能の制御とそのメカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 23590091
研究機関日本大学

研究代表者

榛葉 繁紀  日本大学, 薬学部, 准教授 (20287668)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードBMAL1 / メタボリックシンドローム
研究概要

メタボリックシンドローム発症の要因は様々であるが、生活時間帯のシフトによる生体リズムの乱れもそのひとつであることが多くの疫学調査より示唆されている。生体リズムは、細胞レベルにおいて時計遺伝子であるBrain-Muscle Arnt Like Protein (BMAL)1により制御されている。我々は前回までの採択研究においてBMAL1全身KOマウスを作製し、その解析を行ったところ、BMAL1全身KOマウスは高脂肪食負荷による脂肪組織の肥大化に対して抵抗性を示し、その結果、脂肪組織に蓄えられない過剰の脂質が循環し、肝臓ならび骨格筋における異所性脂肪の蓄積、脂質異常症ならびに耐糖能の低下を示すことを明らかにした。そこで本研究では、上述した知見を基に体内時計システムの異常よるメタボリックシンドローム発症メカニズムを明らかする目的で、脂肪細胞特異的にBMAL1遺伝子を破壊したadipoBMAL1 KOマウス"を作製した。現在、順調に実験に供するだけのマウスの数を確保している。また脂肪組織以外の組織に関して、遺伝子改変マウスを用いた検討により、BMAL1の肝臓における糖代謝ならびにインスリン感受性調節への関与ならびに骨格筋の機能制御における役割等を明らかにした。さらにヒト末梢血液を用いて、肥満者における生体リズムの変化を検討した。その結果、肥満者ではBMAL1の発現量が普通体型者よりも高いことが示された。特にBMAL1, CRY1, CRY2およびPER2の発現量は、12:00 から21:00の間において顕著に増加した。これらの結果は、末梢血中の時計遺伝子の発現と肥満との間に何らかの制御機構が存在していることを示唆している。以上の結果は、原著論文3報、総説5報、招待講演11回において発表された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

遺伝子改変マウスを用いた検討に関しては、当初マウスの作製ならびにそのクリーンアップに予想以上の時間を要したため若干の遅れが生じた。しかしながら現在では、順調に交配ならびに仔の産出が行われており、次年度以降に十分な成果をあげるだけのマウス数は確保されている。また脂肪組織以外の組織におけるBMAL1の知見が飛躍的に得られた。また上述したようにヒトに関する知見は予想以上の成果を上げており、全体を総括的にまたならば順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

(adipoBMAL1 KOマウスの生化学的ならびに病理学的検査得られたマウスについて、体重、摂餌量、呼吸商(酸素吸入量ならびに二酸化炭素排出量)、白色脂肪組織重量、褐色脂肪組織重量、血中コレステロール量、血中トリグリセリド量、血中インスリン量、血糖値、血中遊離脂肪酸量ならびに血中アディポサイトカイン類量などのパラメーターを解析する。またこれらの検査に関して高脂肪食で飼育した場合においても同様に検討を行う。次いで脂肪細胞数ならびに大きさを中心に病理的な観察を行う。adipoBMAL1 KOマウスの耐糖能ならびにインスリン感受性の検討 全身性BMAL1 KOマウスは耐糖能の低下を示すが、肝臓特異的あるいは骨格筋特異的BMAL1 KOマウスではそのような変化は認められない(未発表)。このことは脂肪組織におけるBMAL1が全身の耐糖能ならびにインスリン感受性に影響を与えることを示唆している。そこでadipoBMAL1-Tetマウスの耐糖能ならびにインスリン感受性をブドウ糖負荷試験ならびにインスリン負荷試験によって検討する。adipoBMAL1 KOマウス脂肪組織における遺伝子発現の変化 上述した一連の脂肪組織を中心とした表現型ならびに生化学的パラメーターの変化を分子レベルにおいて解析するために、adipoBMAL1-Tetマウスの脂肪細胞における遺伝子発現をコントロールマウスのそれとDNAマイクロアレイ上にて比較する。アレイ上における発現量に2倍以上の差異が認められた遺伝子に関してはリアルタイムRT-PCRによりさらにその差異を確認し、確認出来た遺伝子に関してのみ以後の検討を行う。

次年度の研究費の使用計画

主にマウスの血液生化学検査、病理学的検査ならびに遺伝子発現解析にかかる費用、学会出張旅費(アディポサイエンス研究会ならびに日本時間生物学会)、論文発表にかかる費用である。

  • 研究成果

    (29件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (21件)

  • [雑誌論文] Hairless modulates ligand-dependent activation of the vitamin d receptor-retinoid x receptor heterodimer.2012

    • 著者名/発表者名
      Chuma M, Endo-Umeda K, Shimba S, Yamada S, Makishima M.
    • 雑誌名

      Biol Pharm Bull.

      巻: 35 ページ: 582-587

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Obesity alters the expression profile of clock genes in peripheral blood mononuclear cells.2011

    • 著者名/発表者名
      Tahira K, Ueno T, Fukuda N, Aoyama T, Tsunemi A, Matsumoto S, Nagura C, Matsumoto T, Soma M, Shimba S, Matsumoto Y.
    • 雑誌名

      Arch Med Sci.

      巻: 31 ページ: 933-40

    • DOI

      DOI: 10.5114

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Deficient of a clock gene, brain and muscle Arnt-like protein-1 (BMAL1), induces dyslipidemia and ectopic fat formation.2011

    • 著者名/発表者名
      Shimba S, Ogawa T, Hitosugi S, Ichihashi Y, Nakadaira Y, Kobayashi M, Tezuka M, Kosuge Y, Ishige K, Ito Y, Komiyama K, Okamatsu-Ogura Y, Kimura K, Saito M.
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 6 ページ: e25231

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 時計遺伝子とメタボリックシンドローム2011

    • 著者名/発表者名
      榛葉繁紀
    • 雑誌名

      Anti-aging Science

      巻: 4 ページ: 50-53

  • [雑誌論文] 食事摂取の時間と体脂肪組成の関連2011

    • 著者名/発表者名
      榛葉繁紀
    • 雑誌名

      日本医事新報

      巻: 4756 ページ: 44-45

  • [雑誌論文] 脂質代謝の日内リズム2011

    • 著者名/発表者名
      榛葉繁紀
    • 雑誌名

      医学のあゆみ

      巻: 239 ページ: 882-885

  • [雑誌論文] 体内時計による代謝調節とメタボリックシンドローム2011

    • 著者名/発表者名
      榛葉繁紀
    • 雑誌名

      ファルマシア

      巻: 47 ページ: 627-630

  • [雑誌論文] 体内時計と生活習慣病2011

    • 著者名/発表者名
      榛葉繁紀
    • 雑誌名

      医学のあゆみ

      巻: 237 ページ: 709-713

  • [学会発表] 内臓脂肪量、脂肪細胞サイズおよび血清脂質レベルに及ぼす運動と降圧薬併用の影響

    • 著者名/発表者名
      松尾(西川)絵梨子、松原茂、榛葉繁紀、安川憲、亀井美和子、小池勝也、青山慎一郎、森脇将光、鈴木政登
    • 学会等名
      日本薬学会第132年会
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      平成24年3月30日
  • [学会発表] 脂肪肝の発症過程におけるAhRの役割

    • 著者名/発表者名
      和田平、白崎春野、内山由貴、篠塚達也、須永洋、榛葉繁紀
    • 学会等名
      日本薬学会第132年会
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      平成24年3月29日
  • [学会発表] レプチンの分泌を促し抗肥満作用を有する肝由来液性因子の存在

    • 著者名/発表者名
      内山由貴、須永洋、和田平、榛葉繁紀
    • 学会等名
      日本薬学会第132年会
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      平成24年3月29日
  • [学会発表] 体内時計とメタボリックシンドローム

    • 著者名/発表者名
      榛葉繁紀
    • 学会等名
      第6回 四国先端糖尿病研究会(招待講演)
    • 発表場所
      ロイヤルパークホテル高松
    • 年月日
      平成24年3月10日
  • [学会発表] 時間薬理学の分子基盤 -時計遺伝子欠損マウスの解析からみえるもの-

    • 著者名/発表者名
      榛葉繁紀
    • 学会等名
      第13回応用薬理シンポジウム(招待講演)
    • 発表場所
      日本大学薬学部
    • 年月日
      平成23年9月4日
  • [学会発表] 時計遺伝子欠損によるメタボリックシンドローム発症とその分子メカニズム

    • 著者名/発表者名
      榛葉繁紀
    • 学会等名
      第32回日本肥満学会(招待講演)
    • 発表場所
      淡路夢舞台国際会議場
    • 年月日
      平成23年9月24日
  • [学会発表] 体内時計による代謝制御とその乱れによるメタボリックシンドローム

    • 著者名/発表者名
      榛葉繁紀
    • 学会等名
      第88回日本栄養・食糧学会関東支部大会、平成23年度 日本食品科学工学会関東支部会 合同シンポジウム(招待講演)
    • 発表場所
      日本大学生物資源科学部
    • 年月日
      平成23年9月17日
  • [学会発表] 体内時計による脂質代謝調節

    • 著者名/発表者名
      榛葉繁紀
    • 学会等名
      日本油化学会2011年若手の会サマースクール(招待講演)
    • 発表場所
      あいち健康プラザ
    • 年月日
      平成23年8月5日
  • [学会発表] 肝Aryl hydrocarbon receptor (AhR)によるエネルギー代謝の臓器間クロストーク制御

    • 著者名/発表者名
      内山由貴、須永 洋、和田 平、榛葉繁
    • 学会等名
      第16回アディポサイエンス研究会
    • 発表場所
      千里阪急ホテル
    • 年月日
      平成23年8月20日
  • [学会発表] 脂肪組織におけるAryl hydrocarbon receptor (AhR)の機能解析

    • 著者名/発表者名
      狩野理奈、和田平、榛葉繁紀
    • 学会等名
      第16回アディポサイエンス研究会
    • 発表場所
      千里阪急ホテル
    • 年月日
      平成23年8月20日
  • [学会発表] 高塩分食負荷時における臓器特異的な生化学的変化と摂食調節

    • 著者名/発表者名
      原田綾香、和田平、榛葉繁紀
    • 学会等名
      第16回アディポサイエンス研究会
    • 発表場所
      千里阪急ホテル
    • 年月日
      平成23年8月20日
  • [学会発表] メタボリックシンドロームの背景 ―過去・現在そして未来―

    • 著者名/発表者名
      榛葉繁紀
    • 学会等名
      サプリメント医療薬学研究会(招待講演)
    • 発表場所
      千葉市生涯学習センター
    • 年月日
      平成23年6月4日
  • [学会発表] 体内時計とメタボリックシンドローム

    • 著者名/発表者名
      榛葉繁紀
    • 学会等名
      New insights of molecular science on growth disorders(招待講演)
    • 発表場所
      東京コンファレンスセンター
    • 年月日
      平成23年6月18日
  • [学会発表] The role of aryl hydrocarbon receptor (AhR) in the adipose tissue

    • 著者名/発表者名
      和田平、狩野理奈、榛葉繁紀
    • 学会等名
      Brown Adipose tissue 2011 Update
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      平成23年6月18日
  • [学会発表] 肝臓特異的AhR欠損マウスの高脂肪食誘導による脂肪肝発症メカニズム

    • 著者名/発表者名
      和田平,白崎春野,内山由貴,須永洋,榛葉繁紀
    • 学会等名
      日本分子生物学会第34回年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      平成23年12月16日
  • [学会発表] 体内時計とメタボリックシンドローム

    • 著者名/発表者名
      榛葉繁紀
    • 学会等名
      公開シンポジウム 食の未来と未来の食(招待講演)
    • 発表場所
      日本大学生物資源科学部
    • 年月日
      平成23年12月14日
  • [学会発表] 体内時計による生理機能調節 ~時計遺伝子欠損(KO)マウスを用いた研究から見えてきたもの~

    • 著者名/発表者名
      榛葉繁紀
    • 学会等名
      静岡県立大学創立25周年記念事業(招待講演)
    • 発表場所
      静岡県立大学
    • 年月日
      平成23年12月13日
  • [学会発表] 体内時計と生活習慣病

    • 著者名/発表者名
      榛葉繁紀
    • 学会等名
      日本栄養評議会 第65回交流会・勉強会 (招待講演)
    • 発表場所
      ホテルグランドヒル市ヶ谷
    • 年月日
      平成23年11月29日
  • [学会発表] 体内時計システムによる代謝調節とそのかく乱によるメタボリックシンドローム

    • 著者名/発表者名
      榛葉繁紀
    • 学会等名
      第39回薬物活性シンポジウム(招待講演)
    • 発表場所
      福岡大学メディカルホール
    • 年月日
      平成23年11月21日
  • [学会発表] Hairlessによるリガンド 選択的VDR活性の抑制作用

    • 著者名/発表者名
      中馬真幸、遠藤香織、榛葉繁紀、山田幸子、槇島 誠
    • 学会等名
      日本レチノイド研究会 第22回学術集会
    • 発表場所
      日本大学会館
    • 年月日
      平成23年11月12日
  • [学会発表] 肝臓特異的AhR欠損マウスの高脂肪食誘導による脂肪肝発症メカニズム

    • 著者名/発表者名
      和田 平、白崎春野、内山由貴、須永 洋、榛葉繁紀
    • 学会等名
      日本レチノイド研究会 第22回学術集会
    • 発表場所
      日本大学会館
    • 年月日
      平成23年11月12日

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公開日: 2013-07-10  

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