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2012 年度 実施状況報告書

時計遺伝子BMAL1による脂肪細胞機能の制御とそのメカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 23590091
研究機関日本大学

研究代表者

榛葉 繁紀  日本大学, 薬学部, 教授 (20287668)

キーワード体内時計 / BMAL1
研究概要

メタボリックシンドローム発症の要因は様々であるが、生活時間帯のシフトによる生体リズムの乱れもそのひとつであることが多くの疫学調査より示唆されている。生体リズムは、細胞レベルにおいて時計遺伝子であるBrain-Muscle Arnt Like Protein (BMAL)1により制御されている。我々は前回までの採択研究においてBMAL1全身KOマウスを作製し、その解析を行ったところ、BMAL1全身KOマウスは高脂肪食負荷による脂肪組織の肥大化に対して抵抗性を示し、その結果、脂肪組織に蓄えられない過剰の脂質が循環し、肝臓ならび骨格筋における異所性脂肪の蓄積、脂質異常症ならびに耐糖能の低下を示すことを明らかにした。そこで本研究では、上述した知見を基に体内時計システムの異常よるメタボリックシンドローム発症メカニズムを明らかする目的で、脂肪細胞特異的にBMAL1遺伝子を破壊したadipoBMAL1 KOマウス”を作製した。本マウスはコントロールマウスに比較して、体重が重いこと、そしてその原因として摂食時間の変化ならびに脂質分解の変化によることを明らかにした。また脂肪組織以外の組織に関して、遺伝子改変マウスを用いた検討により、BMAL1欠損による異所性骨形成への関与を、マイクロCTを用いた画像解析から明らかにした。さらにBMAL1がIndian hedgehogの転写を制御することで軟骨形成に関与することを明らかにした。またDNAメチル化酵素であるDNMT3Bの発現がBMAL1により制御されていることを明らかにした。以上の結果は、原著論文6報、総説6報、招待講演4回において発表された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

脂肪組織特異的にBMAL1を欠損したマウスadipoBMAL1 KOマウスに関して、昨年度中に病理的解析を行う予定であったが、繁殖により得られたマウスが少なく十分に行うことができなかった。しかしながらその検討は、本年度に遂行することができ、一定の成果を得た。また本年度は当初から行動生理学的解析と耐糖能を検討する予定であったが、これらに関しても予定通り遂行し成果を得た。また他の組織特異的なBMAL1欠損マウスを用いてBMAL1による骨ならびに軟骨形成の制御、そしてエピジェネティックな遺伝子発現制御を明らかにした明らかにしたことは予想以上の成果であり、全体を総括的にまたならば順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

現在までに明らかにした一連の脂肪組織を中心とした表現型ならびに生化学的パラメーターの変化を分子レベルにおいて解析するために、adipoBMAL1 KOマウスの脂肪細胞における遺伝子発現をコントロールマウスのそれとDNAマイクロアレイ上にて比較する。アレイ上における発現量に2倍以上の差異が認められた遺伝子に関してはリアルタイムRT-PCRによりさらにその差異を確認し、確認出来た遺伝子に関してのみ以後の細胞レベルでの検討を行う。すなわち、BMAL1 遺伝子のKOにより発現が増加した遺伝子に関しては、阻害剤あるいはsiRNA等を用いて発現低下を行う。一方で、BMAL1遺伝子のKOにより発現が低下した遺伝子に関しては、遺伝子導入を行う。これらの実験を通じて、マウスの表現型を説明するメカニズムそして、脂肪細胞におけるBMAL1の役割を明らかにする。

次年度の研究費の使用計画

主にマウスならびに細胞における遺伝子発現解析にかかる費用、学会出張旅費(アディポサイエンス研究会ならびに日本時間生物学会)、論文発表にかかる費用である。

  • 研究成果

    (22件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] AhR Modulates NADPH Oxidase Activity Via Direct Transcriptional Regulation of p40phox Expression2013

    • 著者名/発表者名
      Wada, T., Sunaga, H., Ohkawara, R., and Shimba, S.
    • 雑誌名

      Molecular Pharmacology

      巻: 83 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [雑誌論文] FASTER: an unsupervised fully-automated sleep staging method for mice2013

    • 著者名/発表者名
      Sunagawa, G., Séi, H., Shimba, S., Urade, Y., and Ueda, H.
    • 雑誌名

      Genes to Cells

      巻: 18 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 肥満発症にかかわる時計遺伝子の役割2013

    • 著者名/発表者名
      榛葉繁紀
    • 雑誌名

      日本臨床

      巻: 71 ページ: 244-248

  • [雑誌論文] Clock genes influence gene expression in growth plate and endochondral ossification in mice.2012

    • 著者名/発表者名
      Takarada, T., Kodama, A., Hotta, S., Mieda, M., Shimba, S., Hinoi, E., and Yoneda, Y.
    • 雑誌名

      J Biol Chem.

      巻: 287 ページ: 36081-36095

    • DOI

      doi: 10.1074/jbc.M112.408963.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Diurnal expression of Dnmt3b mRNA in mouse liver is regulated by feeding and hepatic clockwork.2012

    • 著者名/発表者名
      Maekawa, F., Shimba, S., Takumi, S., Sano, T., Suzuki, T., Bao, J., Ohwada, M., Ehara, T., Ogawa, Y., and Nohara, K.
    • 雑誌名

      Epigenetics

      巻: 7 ページ: 1046-1056

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Observation of the Tarsus Joint in the Mop-3/Bmal-1 Gene Knock-out Mouse Using “In vivo” Micro-CT: Influence of Diet and Sex on Calcification of the Tendon of the Tarsus Joint2012

    • 著者名/発表者名
      Kai, Y., Matsumoto, K., Kameoka, S., Arai, S., Matsumoto, N., Komiyama, K., Shimba, S., and Honda, K.
    • 雑誌名

      Journal of Hard Tissue Biology

      巻: 21 ページ: 133-140

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Rhythmic Nucleotide Synthesis in the Liver: Temporal Segregation of Metabolites.2012

    • 著者名/発表者名
      Fustin, J.-M., Doi,M., Yamada, H., Komatsu, R., Shimba, S., and Okamura, H.
    • 雑誌名

      Cell Reports

      巻: 1 ページ: 341-349

    • DOI

      doi: 10.1016/j.celrep.2012.03.001.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 時計遺伝子による代謝調節と疾患2012

    • 著者名/発表者名
      榛葉繁紀
    • 雑誌名

      化学と生物

      巻: 50 ページ: 794-800

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 脂質代謝と概日リズム2012

    • 著者名/発表者名
      榛葉繁紀
    • 雑誌名

      GI Research

      巻: 20 ページ: 15-21

  • [雑誌論文] 体内時計をどう治療に活用するか~脂質異常症を治療する2012

    • 著者名/発表者名
      榛葉繁紀
    • 雑誌名

      Heart View

      巻: 16 ページ: 97-102

  • [雑誌論文] 時計遺伝子と代謝疾患2012

    • 著者名/発表者名
      榛葉繁紀
    • 雑誌名

      Bio Clinica

      巻: 27 ページ: 29-32

  • [雑誌論文] 時計遺伝子による代謝調節とメタボリックシンドローム2012

    • 著者名/発表者名
      和田平、榛葉繁紀
    • 雑誌名

      肥満研究

      巻: 18 ページ: 21-26

    • 査読あり
  • [学会発表] BMAL1による臓器特異的機能ならびに臓器間クロストークの制御2012

    • 著者名/発表者名
      榛葉繁紀
    • 学会等名
      第19回日本時間生物学会学術大会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      20120900
  • [学会発表] 体内時計による代謝制御とメタボリックシンドローム2012

    • 著者名/発表者名
      榛葉繁紀
    • 学会等名
      栄養学若手研究者の集い第46回サマーセミナー
    • 発表場所
      熱海
    • 年月日
      20120800
  • [学会発表] 時間薬物治療への招待

    • 著者名/発表者名
      榛葉繁紀
    • 学会等名
      日本薬学会第133年会
    • 発表場所
      横浜
    • 招待講演
  • [学会発表] 時計遺伝子BMAL1による組織特異的な代謝調節

    • 著者名/発表者名
      榛葉繁紀
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      福岡
    • 招待講演
  • [学会発表] 時計遺伝子BMAL1による肝インスリンシグナル伝達経路の調節

    • 著者名/発表者名
      和田平、戸田知里、榛葉繁紀
    • 学会等名
      日本薬学会第133年会
    • 発表場所
      横浜
  • [学会発表] 高塩分食負荷時における摂食調節

    • 著者名/発表者名
      原田綾香、和田平、榛葉繁紀
    • 学会等名
      第56回日本薬学会関東支部
    • 発表場所
      東京
  • [学会発表] 肝Aryl hydrocarbon receptor (AhR)によるエネルギー代謝の臓器間クロストーク制御

    • 著者名/発表者名
      篠塚達也、内山由貴、須永洋、和田平、榛葉繁紀
    • 学会等名
      第16回アディポサイエンス研究会シンポジウム
    • 発表場所
      大阪
  • [学会発表] 時計遺伝子BMAL1によるAktを中心とした肝シグナル伝達の調節

    • 著者名/発表者名
      戸田知里、和田平、榛葉繁紀
    • 学会等名
      第16回アディポサイエンス研究会シンポジウム
    • 発表場所
      大阪
  • [学会発表] 骨格筋特異的に概日リズムを欠損したマウスにおける筋繊維タイプとエネルギー代謝の変化

    • 著者名/発表者名
      鈴木英美、市橋達也、和田平、榛葉繁紀
    • 学会等名
      第16回アディポサイエンス研究会シンポジウム
    • 発表場所
      大阪
  • [学会発表] Tissue specific regulation of energy metabolism by BMAL1

    • 著者名/発表者名
      榛葉繁紀
    • 学会等名
      Society for research on biological rhythms biannual meeting 2012
    • 発表場所
      Destin, 米国

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公開日: 2014-07-24  

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