研究課題
レプチンの産生・分泌に代表されるように脂肪細胞機能の一部は日内変動を示す。そこで脂肪細胞機能制御における分子時計システムの役割を明らかにする目的で脂肪組織特異的に時計遺伝子BMAL1を欠損したマウス(A-BMAL1 KOマウス)を作製した。このマウスは、総摂食量に違いを示さないものの摂食時間がコントロールマウスとは異なっており、過体重を示した。その一方で精巣上体脂肪組織においては、脂肪細胞分化能の低下が示された。また比較的短時間(6時間)の絶食後における血糖値は、コントロールマウスに比較して有意に低下していた。通常食飼育あるいは高ショ糖食飼育したA-BMAL1 KOマウスは、著しい耐糖能の亢進を示した。高脂肪食飼育により、この亢進はキャンセルされた。これらの結果は、脂肪細胞における分子時計システムが脂肪細胞分化ならびに臓器間シグナル伝達を介した摂食や糖代謝を調節していることを示している。エネルギー代謝の臓器間における伝達を司る液性因子のひとつとして遊離脂肪酸が存在する。血中遊離脂肪酸量は日内変動を示すことからその調節は分子時計システムによりなされていると考えられる。A-BMAL1 KOマウスはコントロールマウスに比較して、低い血中遊離脂肪酸量を示した。またA-BMAL1 KOマウス脂肪組織では、HSL量ならびにATGL量のタンパク質レベルでの低下が認められた。一方、絶食あるいはイソプロテレノール処理後におけるA-BMAL1 KOマウスの血中遊離脂肪酸量は、コントロールマウスとほぼ同程度あった。またその際の活性型HSL量に関して、両マウスの間で差異は認められなかった。以上の結果は、脂肪組織における分子時計システムが、定常時における脂質分解活性の調節を介して、血中遊離脂肪酸量を制御していることを示している。
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