研究課題/領域番号 |
23590095
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研究機関 | 同志社女子大学 |
研究代表者 |
川崎 清史 同志社女子大学, 薬学部, 教授 (60270641)
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キーワード | リポ多糖 / リモデリング / 認識 |
研究概要 |
本研究では感染細菌の宿主適応のメカニズムの解析を目的としている。そのうち特に外膜構成成分であるリポポリサッカライドに着目し、LPSリモデリングの感染応答での役割を解明すると同時に、宿主のLPS認識の機構を明らかにすることを計画している。 本年度は昨年度の研究で確立したLPSのリピドA修飾酵素であるLpxRによって起こる脱アシル化の修飾をされたリピドAの精製法を利用してその活性を非修飾型リピドAおよびLPS合成酵素LpxM欠損株から得られる生合成中間体リピドAと比較した。脱アシル化リピドAは修飾型リピドAよりも活性は低いが、生合成中間体よりも活性が高ことがわかった。構造活性相関について次年度さらに解析を進める予定である。 宿主のリピドA認識応答機構を解明するために、LPS認識と並行して起こる貪食に着目して貪食がLPS刺激伝達に与える影響を解析している。LPS刺激によってマクロファージ様培養細胞株からTNFαが分泌されるが、その際にラッテックスビーズを貪食させるとTNFαの分泌が増強することがわかった。貪食シグナルがLPSシグナルを増強する可能性がある。機構の詳細について次年度さらに解析を進める予定である。 グラム陰性菌は外膜を起源とする外膜小胞(Outer membrane vesicle, OMV)が分泌される。OMVはLPSなどの脂質、様々な病原性タンパク質、薬剤耐性などの遺伝物質としての核酸、などが含まれることが知られており、最近の病原性に関わると考えられている。このOMV生成の分子機構を探るために大腸菌からOMVを精製してその構成タンパク質を分析した。W3110株の場合鞭毛成分が含まれることが特徴であった。特徴的構成タンパクの生理機能について次年度以降解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LPSリモデリングの解析を推進するために、LpxRによって起こる脱アシル化の修飾をされたリピドA精製標品を得てその活性測定を行った。また宿主によるLPS認識の機構を解明するために、LPS刺激およびLPS刺激と貪食を同時に行わせたマクロファージから分泌される種々のサイトカインの測定を行った。さらにリモデリングと捉えることができるOMV形成に関してOMV構成成分を同定した。
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今後の研究の推進方策 |
リピドA合成の変異株を利用してさらに様々な構造のリピドAを作出・精製する。それらの活性を測定比較することによりリピドAの構造活性相関の解析を行う。また、宿主LPS刺激伝達に対する貪食シグナルの増強効果を分子レベルで明らかにする。また、OMV形成における鞭毛タンパク質の役割を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記の研究を遂行するために薬品をはじめとする物品の購入に研究費を使用する。さらに、研究成果の発表や研究情報の交換のための旅費などに研究費を使用する。
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