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2011 年度 実施状況報告書

精子幹細胞におけるポリ(ADPーリボース)代謝の役割

研究課題

研究課題/領域番号 23590097
研究機関大阪大谷大学

研究代表者

竹橋 正則  大阪大谷大学, 薬学部, 講師 (10378862)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード精子幹細胞 / ポリ(ADP-リボース) / 多能性幹細胞 / 発生・分化 / 再生医療
研究概要

組織幹細胞の1つである精子幹細胞は、試験管内でゲノム安定性を維持したまま長期間培養することが可能である一方、低頻度ではあるもののES細胞と同様な性質をもった多能性幹細胞に変化することが知られている。精子幹細胞がもつ特徴の1つ、ゲノム安定性に着目した今までの研究によって、DNA修復、染色体の安定性などとの関連が知られているタンパク質翻訳後修飾、ポリ(ADP-リボシル)化を阻害することで、精子幹細胞の増殖が抑制されるという実験結果を得た。本研究の目的は、精子幹細胞の増殖に直接関与する、ポリ(ADP-リボシル)化タンパク質の同定、さらにはポリ(ADP-リボース)分解酵素(PARG)の影響についても解析し、精子幹細胞におけるポリ(ADP-リボース)代謝の役割の実態を解明することである。まず、精子幹細胞に関わるポリ(ADP-リボシル)化タンパク質を明らかにするため、ポリ(ADP-リボシル)化タンパク質として知られているp53に着目した。ポリ(ADP-リボシル)化を担う酵素、PARPの活性を阻害したマウス精子幹細胞の培養系(GS細胞)では、p53の下流で働く複数の遺伝子の発現に変化があることがわかった。このことから、ポリ(ADP-リボシル)化阻害による精子幹細胞の増殖抑制に、p53が関与している可能性が示唆された。また、次年度以降、ポリ(ADP-リボース)分解系の役割についても解析する目的で、遺伝子発現ベクター、shRNAを用いた、ポリ(ADP-リボース)分解酵素(PARG)の発現を制御したGS細胞の構築を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

精子幹細胞の増殖に関与するポリ(ADP-リボシル)化タンパク質の候補を見つけ、ポリ(ADP-リボース)分解酵素(PARG)の影響について解析するための発現制御系をマウス精子幹細胞の培養系(GS細胞)でほぼ構築できたので、研究目的に沿っておおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

まず、ポリ(ADP-リボシル)化阻害による精子幹細胞の増殖抑制にp53が関与している可能性について、さらに詳細に解析する。これまでと同様、ポリ(ADP-リボシル)化を担う酵素、PARPの活性を阻害したマウス精子幹細胞の培養系(GS細胞)を用い、p53のポリ(ADP-リボシル)化の状態を、免疫沈降、ウエスタンブロット法および免疫染色法などによって解析し、野生型のGS細胞の場合と比較する。 また、shRNAを用いたPARPの発現を抑制したGS細胞、ポリ(ADP-リボース)分解酵素(PARG)の発現を制御したGS細胞について、増殖能の変化や、免疫染色法、フローサイトメトリーおよびRT-PCRを用いた解析によって表現型の変化を調べる。さらに、各種のメチル化およびアセチル化ヒストン抗体による免疫染色またはウエスタンブロットによるヒストン修飾の解析や、細胞のDNAを抽出しCOBRA法によってインプリンティング遺伝子のメチル化状態の解析によって、エピジェネティック修飾の変化について調べる。 これらの解析を総合的に評価し、精子幹細胞におけるポリ(ADP-リボース)代謝の役割を明らかにする。有用な知見が得られたら、その成果をまとめ発表する。

次年度の研究費の使用計画

次年度使用額が生じたのは、実験補助のために予定していた謝金を使用しなかったためである。この研究費と次年度請求する研究費を合わせて、主に細胞培養および一般研究用の試薬、培養用のプラスチック器具などの消耗物品費に使用し、一部、実験補助のための謝金、成果発表のための旅費および投稿料などに使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Inhibition of poly(ADP-ribose) polymerase-1 attenuates the toxicity of carbon tetrachloride.2011

    • 著者名/発表者名
      Banasik M, et al.
    • 雑誌名

      J Enzyme Inhib Med Chem

      巻: 26 ページ: 883-889

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Mammalian selenocysteine lyase is involved in selenoprotein biosynthesis.2011

    • 著者名/発表者名
      Kurokawa S, et al.
    • 雑誌名

      J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo)

      巻: 57 ページ: 298-305

    • 査読あり
  • [学会発表] PARP-1阻害剤が神経幹細胞の細胞周期に与える影響について2012

    • 著者名/発表者名
      前田藍佳, 他
    • 学会等名
      日本薬学会第132年会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2012-03-29

URL: 

公開日: 2013-07-10  

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