研究課題/領域番号 |
23590102
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研究機関 | 就実大学 |
研究代表者 |
中西 徹 就実大学, 薬学部, 教授 (30243463)
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研究分担者 |
新井 祐志 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50347449)
長塚 仁 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70237535)
渡辺 雅彦 就実大学, 薬学部, 教授 (00182949)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | CD81 / 関節リウマチ / モノクローナル抗体 / ELISA / siRNA |
研究概要 |
(1)4回膜貫通型分子テトラスパニンCD81の細胞外領域のうち、長いループであるLELを大腸菌でGSTと融合した形で大量発現し、これを精製して抗原とし、CD81に対するモノクローナル抗体を作製した。これらの抗体について抗原に対する結合部位を決定したところ、一種のIgM抗体は抗原全体を認識したが、他の抗体は一部のペプチドを認識していた。また、これらの抗体の機能について調べるため、炎症性サイトカインによって滑膜細胞を刺激した後の応答をこれらの抗体が制御できるか調べた。その結果、これらの応答を抑制する抗体が存在した。さらに滑膜細胞を培養して培養系に抗体を添加したところ、滑膜細胞の増殖を抑制する抗体が存在した。代表的な抗体については腹水化による大量生産を行った。(2)アルブミン及びイムノグロブリンを除去した関節液に対して、今回樹立した抗体を用いてウェスタンブロットを行った結果、CD81を含む数種のバンドが還元条件下でRA特異的に見いだされた。(3)(1)で明らかとなったCD81上で認識するエピトープの異なるモノクローナル抗体を二つ組み合わせてサンドイッチELISAの系の構築が可能か検討した。その結果、(1)で作製した組換えLELを標準抗原として測定を行うと、抗原濃度依存的に基質の発光量が増大して、標準曲線を作成することがs可能であった。しかし、今回の実験ではまだ測定可能濃度範囲が狭く、また測定限界もng/mlのオーダーで、リウマチ診断薬として開発して行くためにはさらなる系の改良が必要と思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CD81を標的とした、新たな抗体薬としてのリウマチ治療薬開発と早期リウマチ診断薬の開発が本研究の目的であるが、ほぼ予定通り、CD81の組換えタンパク質を大量生産し、これを抗原として免疫を行い、抗CD81モノクローナル抗体を得た。さらに、これらの抗体の性状についての解析も進んでおり、平成24年度には予定通り、モデルマウスを用いた治療実験に入る予定である。また、診断薬についても、今回樹立したモノクローナル抗体を用いたサンドイッチELISAの測定系確立が進んでおり、ほぼ測定は可能であるという結果を得ている。平成24年度は関節液を用いた実際の測定実験に入る予定である。
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今後の研究の推進方策 |
治療薬開発については今年度モデル動物を用いた治療実験を開始する。また診断薬については、現在開発中のサンドイッチELISA系の改良を行って感度を上げ、実際の関節液を用いた測定試験を行う予定である。また、平成23年度計画の中で実施できなかった、トランスジェニックマウスの作製や組換えアデノウイルスの導入実験等を実施し、CD81の生体における生理機能についても基礎的解明を試みる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
細胞培養、DNA実験試薬、器材費、抗体調製費、動物実験費 850,000 円旅費 200,000人件費 100,000論文投稿費等 50,000 計 1,200,000
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