研究課題/領域番号 |
23590106
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
村山 俊彦 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (90174317)
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キーワード | セラミド / セラミド代謝 / セラミド誘導体 / アラキドン酸 / ホスホリパーゼA2 / 肺繊維症 |
研究概要 |
平成24年度は、交付申請書に記載したとうり、平成23年度実施研究を継続発展させた。cPLA2alpha活性を制御する新規合成ceramide-1-phosphate(C1P)誘導体の探索をすすめた。さらに、細胞内小器官であるゴルジ装置に選択的に集積するゴルジマーカーを見いだした。 セラミド代謝酵素群の制御機構を解析し、各種のSrc型チロシンキナーゼが、異なった代謝酵素を制御することを明らかにした。 肺繊維症のモデル細胞において、TGFb-1による繊維化促進にsphingosine-1-phosphate(S1P)が関与する機構の詳細を明らかにした。 平成24年度に新たにスタートさせた研究では、肺気道過敏症モデルマウスの作成を行って、薬理作用検討の準備を進めた。肺癌モデル細胞を用いてセラミド代謝を検討し、肺癌細胞の生存、増殖におけるセラミド代謝、アラキドン酸ーホスホリパーゼA2系の関与を示した。得られた研究実績を具体的に記載すると、1)ニーマンピック病モデル細胞においてアラキドン酸代謝の亢進が細胞死に直結すること、2)HSP90熱ショックタンパク質がセラミド代謝に調節作用を有していること、3)肺繊維細胞において、S1Pは異なった受容体を介して、繊維化促進と繊維化抑制の両方の作用を示し、血清などの環境因子によって両者のバランスが変化することなどを明らかにし、さらに4)各種の新規セラミド誘導体から、ゴルジ装置的に集積する誘導体、細胞質型ホスホリパーゼA2選択的阻害作用を有する誘導体を見いだした。また、セラミド代謝とコレステロール代謝・細胞内輸送が密接に関連していること、コレステロール輸送がセラミド1リン酸により抑制されていることを見いだし、ベジクルを介したコレステロール輸送のセラミド調節の手がかりを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究計画に従って、研究を順調に進めている。今年度は、昨年度計画研究を継続、発展させ、また新たに今年度から新たに実施する研究計画も実施に移した。 特に、肺繊維化モデル細胞を使用した研究では、新らしい知見が得られ、国際雑誌での公表や多くの学会発表を行った。 新しく得られたセラミド誘導体がゴルジマーカーであることを発見し、大学知財関係部署の協力を得て、国内のみならず、国際特許を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、平成23年、24年度に実施した研究をさらに発展継続させる。これまでに得られた成果を論文発表するために追加実験などを行い、研究成果をより確実なものとしたい。 また、当初の研究計画に沿って肺癌モデルマウスの作成などを新たに開始し、セラミド誘導体の抗癌作用を検討する研究を実施する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年、24年に交付された助成金は100%使用した。 平成25年度では、直接経費の交付予定額 1,000,000円に対し以下の内訳の使用計画を予定している。 物品費 800,000円; 旅費 100,000円 人件費謝金 50,000円; その他 50,000円。
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