研究課題/領域番号 |
23590111
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
矢部 武士 摂南大学, 薬学部, 教授 (40239835)
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研究分担者 |
山田 陽城 北里大学, 大学院感染制御科学府, 教授 (60096691)
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キーワード | 色素上皮由来因子 / 神経保護作用 / 神経系前駆細胞 / 脳虚血 / グルタミン酸トランスポーター |
研究概要 |
色素上皮由来因子(pigment epithelium-derived factor; PEDF)は、様々なタイプのニューロンに対して神経保護作用を示すとともに、血管新生阻害作用を併せ持つことが明らかとされ、創薬標的としても注目を集めている。今年度は、治療薬開発の際の標的タンパク質としてのPEDFの可能性を検討するため、抗PEDFポリクローナル抗体を用いたELISA法によるPEDF高感度検出系の確立を行うとともに、PEDF産生能を制御しうる和漢薬の探索を行った。抗PEDF抗体には、ヒトPEDF遺伝子の全長よりN末端部分を1部欠損させたPEDF蛋白を(Asp44-Pro416)をウサギに免疫することにより調整した。得られた抗血清よりPEDF特異抗体をアフィニティーカラムにより精製し、各種実験に用いた。その結果、今回作成したPEDF特異抗体はげっ歯類のPEDFとも交差性があり、ウエスタンブロット、免疫組織学的解析などに応用可能であった。またPEDF産生を促進する薬物を探索するためにdirect ELISAの構築を行い、PEDF産生促進作用を有する和漢薬の探索を行った。3日間無血清培地で培養し分化させたhTERT-RPE1細胞に和漢薬熱水抽出エキス、漢方薬エキスを培地に添加し、24時間後の培養上清中のPEDF量をDirect ELISA法により測定した。その結果、数種の生薬エキス(黄ゴン、酸棗仁、芍薬、大黄など)にPEDF産生促進作用が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2012年度より研究代表者の矢部が北里大学北里生命科学研究所から摂南大学薬学部に移動した。そのため研究室のセットアップ、学生への実験技術の指導などに時間と労力を割かれてしまい、課題の遂行に影響が出てしまった。また移動先の実験動物施設ではこれまでウイルスベクターの接種実験の前例がないため、今年度はウイルスベクターに関する実験を実施しなかった。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には、平成24年度の実験計画の延長線上の研究を行うが、PEDFの神経新生に対する作用を明らかとすることを目的に、正常動物や脳虚血負荷動物などの海馬歯状回や側脳室にリコンビナントPEDFを投与し、神経系前駆細胞の増殖、分化に変 化があるかどうかをBrdU標識法、及び蛍光免疫多重染色法を用いて解析をおこなう。また培養細胞を用いたin vitroでのスクリーニングにより見いだされたPEDF発現増強作用有する化合物やPEDF様の作用を有する化合物に関してin vivoでの解析を行い、神経変性疾患などに対する新規治療薬としての可能性を追求する。
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次年度の研究費の使用計画 |
基本的に23年度の使用項目と同様である。以下に項目を記す。 実験動物 (SDラット、妊娠確定ラット、哺乳ラット、ddYマウスなど) 各種抗体 (細胞内情報伝達関連抗体、アポトーシス関連抗体、細胞マーカー蛋白関連抗体など、その他現有効帯の補充) 培養関連試薬 (培地、ウシ胎児血清、培地添加物など)その他の試薬 (RT-PCR 関連, 免疫染色関連試薬、in situ hybridaizati on関連試薬、各種制限酵素補充、トランスフェクション関連試薬、レポータージーンアッセイ関連試薬、その他現有試薬の補充) 各種消耗品類 (ディスポーサブル・ピペット、培養プレート、培養フラスコ、チャンバースライド、スライドガラスなど)
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