研究課題/領域番号 |
23590114
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
高木 教夫 東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (50318193)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 脳虚血 / 脳血管 / チロシンリン酸化 / 脳梗塞 / 血液脳関門 |
研究概要 |
申請者はこれまでラット一過性中大脳動脈閉塞モデルを用い、Src familyチロシンキナーゼの阻害薬が梗塞巣体積を軽減すること、この効果の一因に血液脳関門構成タンパク質occludin及び活性酸素発生にかかわるNADPH oxidaseが関与することを明らかにしてきた。本年度は、FITC-albuminで脳内を還流後、薄切切片による血管外へのFITC漏出領域を測定することにより血液脳関門機能を解析した結果、再灌流後24時間目のFITC漏出領域の出現とチロシンキナーゼ阻害薬によるFITC漏出抑制を確認した。 本年度はさらに、エロペルオキシダーゼ(MPO)タンパク質の免疫組織学的手法により好中球の脳組織浸潤を評価することにより、一過性中大脳動脈閉塞後再灌流時の脳血管機能を解析した。その結果、再灌流後24時間目において、脳血管及び脳血管外にMPO陽性細胞が著しく観察された。二重染色法により、このMPO陽性細胞はGFAP陽性細胞(アストロサイト)あるいはNeuN陽性細胞(神経細胞)とmergeしないことを確認し、これらの結果により、一過性脳虚血後の脳組織内への好中球浸潤が示唆された。引き続き、チロシンキナーゼ阻害薬の効果を検討したところ、単位視野あたりのMPO陽性細胞数は顕著に減少した。これまでの結果及び平成23年度の結果を考え合わせると、一過性脳梗塞後の脳血管におけるチロシンリン酸化反応が血液脳関門の破綻と好中球浸潤に深く関わることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画は、虚血という事象に最初に遭遇する脳血管に着目し、in vivo脳梗塞での病態生理学的変化を明らかにした上で、脳血管とその周囲環境を第一義的創薬ターゲットに据えている。この計画の中で、in vivo動物モデルの作製はこれまで申請者が遂行してきた方法を踏襲した。平成23年度は、FITC-アルブミンを用い脳血管外への漏出を測定することにより血液脳関門の破綻と、チロシンキナーゼ阻害薬によるFITC-アルブミンの血管外漏出の抑制を確認した。さらに、平成23年度は、組織学的検討により、脳梗塞後に好中球浸潤が惹起され、この浸潤にはチロシンリン酸化が関与することを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
交付申請書の計画に基づき研究を推進する。すなわち、実験進行中である平成23年度計画部分を継続し、平成24年度以降は血液脳関門構成タンパク質、特に細胞接着因子及び血管新生因子とその受容体に着目し、チロシンリン酸化の標的と、そのチロシンリン酸化機序の解明を試みる。さらに、脳血管及びその周囲環境、特にペリサイト及びアストロサイトの形態に及ぼすチロシンリン酸化阻害薬の効果を組織学的及び各種タンパク質量の細胞内局在変化を検討し明らかにしていく予定である。一方、血液脳関門の破綻機序解明と治療戦略の構築に応用すべく、グリア-内皮細胞共培養系の予備実験を開始する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画書に応じ研究費を使用する。すなわち、平成24年度は主に実験動物(ラット)代及び試薬・抗体代の消耗品費に使用する予定である。また、グリア-内皮細胞共培養系の実験開始とその実験系構築のために実験動物代及び培養用試薬等の消耗品費として使用する予定である。なお、研究成果が纏まり成果発表が可能な場合、論文を作成した後、英文校閲代として使用するほか、学会発表のための参加費及び国内旅費に充てる予定である。
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