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2012 年度 実施状況報告書

新規脳保護薬の探索とその保護メカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 23590117
研究機関日本大学

研究代表者

石毛 久美子  日本大学, 薬学部, 教授 (40212873)

キーワードGR103691 / 低酸素再酸素化細胞死 / HT22細胞
研究概要

新規脳保護薬の候補物質探索のため、HT22細胞において低酸素再酸素化誘発細胞死を抑制し、前脳虚血モデルにおいても保護作用を示したGR103691に構造が類似の化合物を合成し、まず、HT22細胞において、低酸素再酸素化誘発細胞死に及ぼす影響を検討した。化合物を低酸素負荷直前に添加し、再酸素負荷24時間後にLDHアッセイを行ったところ、調べた36化合物のうち、18化合物が、GR103691またはエダラボンと同程度あるいはより強力な細胞死抑制作用を示した。これら18化合物には、新規化合物も含まれていた。脳梗塞患者に対し、脳保護薬は、虚血発症後に投与されることを考慮し、作用が最も強力であった2種の化合物について、低酸素負荷直前ではなく、再酸素化直後に添加して細胞死に及ぼす影響を見たところ、2種の化合物ともに、細胞死抑制効果を示した。また、低酸素再酸素化誘発細胞死の抑制効果を示した化合物から数種を選択し、他の因子により誘導される細胞死に及ぼす影響をHT22細胞において検討したところ、GR103691と同様にグルタミン酸誘発細胞死は抑制したが、ツニカマイシン誘発細胞死は抑制しなかった。現在、非常に強い細胞死抑制作用を示した物質を中心に詳細な細胞死抑制機構について検討中であるが、上記の結果より、新たに合成した化合物の細胞死保護メカニズムがGR103691と同一あるいは類似点が非常に多いことが推察された。また、小胞体ストレス誘発細胞死は抑制しないとが明らかとなった。このように主に本年度の研究により、新規の化合物にGR103691よりも強力な細胞死抑制作用を見出すことができたため、「アポトーシス抑制剤」として特許申請に至っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

実績に示したようにin vitroにおける新規化合物の探索ならびに細胞死保護メカニズムの検討は、ほぼ、計画通りに実施できているが、in vivoにおける検討は、計画より、進行がやや遅れている。これは、当初の予定よりも前脳虚血モデルマウスの供給が滞ったためである。しかし、すでに改善案を遂行しつつあるため、大幅な計画変更等は必要ないと考えている。

今後の研究の推進方策

概ね当初の研究計画に従ってin vitroおよびin vivoにおける検討を実施する予定である。
まず、in vitroにおける検討であるが、実績および達成度に示したように当初の計画通り進行している。現在、HT22細胞においてGR103691および関連化合物のうち、比較的作用の強かった化合物を中心に保護作用メカニズムを検討中であるが、継続して実施する。また、保護作用を検討した36種の関連化合物の構造をもとに新たに約30種の化合物を保護作用候補物質として合成したので、それらの化合物の保護作用についても早急に検討する。
In vivoにおける検討は、やや進行が遅れているが、in vitroにおける検討でGR103691およびエダラボンより作用の強力な化合物が明らかになったため、そのような化合物に焦点を当てることで当初の目的を達成させる。

次年度の研究費の使用計画

ほぼ、当初の計画通りに使用する。すなわち、大部分を研究用消耗品(動物、培養用消耗品、抗体などの試薬など)の購入に充て、一部を研究成果報告のために、論文投稿の諸経費(英文校正料、投稿料)および学会参加出張費に充てる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Prostaglandin E2-Induced Cell Death is Mediated by Activation of EP2 Receptors in Motor Neuron-like NSC-34 Cells.2013

    • 著者名/発表者名
      Miyagishi H, Kosuge Y, Yoneoka Y, Ozone M, Endo M, Osada N, Ishige K, Kusama-Eguchi K, Ito Y.
    • 雑誌名

      J Pharmacol Sci.

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.1254/jphs.12274SC

    • 査読あり
  • [学会発表] GR103691関連化合物の低酸素再酸素化誘発細胞死抑制効果

    • 著者名/発表者名
      野口 真依子、石毛 久美子、小菅 康弘、前田 佳祐、齋藤 弘明、宮入 伸一、伊藤 芳久
    • 学会等名
      日本薬学会第133年会
    • 発表場所
      横浜
  • [学会発表] 石毛 久美子、長田暢弘、小菅 康弘、伊藤 芳久

    • 著者名/発表者名
      The involvement of endoplasmic reticulum stress in neurodegeneration after transient global ischemia-reperfusion
    • 学会等名
      第86回日本薬理学会年会
    • 発表場所
      福岡
  • [学会発表] 小菅 康弘、宮岸寛子、長田暢弘、石毛 久美子、伊藤 芳久

    • 著者名/発表者名
      運動ニューロン様株化細胞NSC-34におけるProstaglandin E2誘発細胞死にはEP2受容体ノン活性化が関与する
    • 学会等名
      第86回日本薬理学会年会
    • 発表場所
      福岡
  • [産業財産権] アポトーシス抑制剤2012

    • 発明者名
      石毛久美子、伊藤芳久、宮入伸一、齋藤弘明、小菅康弘
    • 権利者名
      石毛久美子、伊藤芳久、宮入伸一、齋藤弘明、小菅康弘
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2012-278397
    • 出願年月日
      2012-12-20

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公開日: 2014-07-24  

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