研究課題/領域番号 |
23590118
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研究機関 | 星薬科大学 |
研究代表者 |
千葉 義彦 星薬科大学, 薬学部, 准教授 (00287848)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | アレルギー性気管支喘息 / 気道過敏性 / 気管支平滑筋 / RhoA / microRNA (miRNA) / サイトカイン / Interleukin-13 (IL-13) |
研究概要 |
マイクロ RNA (miRNA) は、ターゲットとなる遺伝子のメッセンジャー RNA (mRNA) の 3’非翻訳領域に相補的に結合して、翻訳を阻害することによりタンパク質発現を抑制的に制御しており、さまざまな生理機能、病態形成に関与していることが示唆されてきている。すなわち、過敏性気管支平滑筋においてある種の miRNA の機能が低下し、その結果 RhoA タンパク質発現が増加して気管支平滑筋細胞の過剰な収縮反応が惹起され、これが喘息患者に認められる気道過敏性の発現に関与している可能性が考えられる。そこで、過敏性気管支平滑筋において発現変化している miRNAs について網羅的に調査した。まず、研究代表者が開発した従来の方法を用いて、抗原感作および抗原反復吸入チャレンジを施すことによりアレルギー性気管支喘息モデルマウスを作製し、その左主気管支平滑筋組織より total RNA を抽出した。一方、研究代表者のこれまでの研究成果において培養ヒト気管支平滑筋細胞 (hBSMCs) に interleukin-13 (IL-13) を処置することにより RhoA タンパク質発現が増加することを示しているが、この IL-13 処置した hBSMCs より同様に total RNA を抽出した。これら total RNA サンプルについて、miRNA マイクロアレイ解析を行ったところ、miRNA-31 (miR-31)、miR-133、miR-140 など、十数種類の miRNA が増加あるいは減少していた。これらマイクロアレイ解析で変化が認められた miRNA について、リアルタイム PCR 法を用いてその発現変化を確認するとともに、データベースを用いたバイオインフォマティクス解析を行い、気道過敏性発現に関与する miRNA の候補の一つとして miR-140 を同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究実施計画の通り、ほぼ当初の計画通り順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成 23 年度に行った網羅的解析の結果同定された miR-140 について、気管支平滑筋細胞における機能解析を行うとともに、アレルギー性気管支喘息時の気道過敏性発現との関連性について検討を進めていく。すなわち、人工合成 miR-140 あるいはinhibitorとして miR-140 に対する antagomir を薬理学的ツールとして用い、培養ヒト気管支平滑筋細胞におけるRhoAタンパク質発現、あるいはその他の収縮関連タンパク質の発現に対する効果を観察する。さらに、IL-13 や IL-17 などのサイトカインを用いて miR-140 発現を低下させる条件を見出し、この条件をマウス摘出気管支平滑筋組織に適用してその収縮反応に及ぼす効果を観察し、気道過敏性発現との関連性について検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成 24 年度に請求する研究費のうち直接経費は、研究計画の遂行に必要な試薬、キット、実験動物などの物品費 (消耗品費) にすべて充当する予定である。なお、平成 23 年度に交付された助成金について預貯金利息 (77 円) が生じ、その一部 (62 円) は平成 24 年度に請求する研究費と合わせて使用する。
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