研究課題
平成 23 年度に行った網羅的解析の結果同定された miRNA の一つ miR-140 について、気管支平滑筋細胞における機能解析を行うとともに、アレルギー性気管支喘息時の気道過敏性発現との関連性について検討を行った。バイオインフォマティック解析の結果、miR-140-3p のターゲット遺伝子の一つとして CD38 の可能性が強く示唆された。CD38 は、細胞内カルシウム動態に寄与する cADPR の合成酵素として知られており、喘息時の気管支平滑筋における miR-140-3p 発現低下により CD38 up-regulation が惹起され、これが気道過敏性発現の一因となっている可能性が考えられる。事実、抗原誘発気管支喘息モデルマウスの気管支平滑筋組織において、CD38 発現の著明かつ有意な増加が認められた。miR-140-3p の antagomir をトランスフェクションした培養ヒト気管支平滑筋細胞において、CD38 タンパク質発現の有意な増加が認められた。また、IL-13 処置した培養ヒト気管支平滑筋細胞において、miR-140-3p 発現の低下および CD38 タンパク質発現の増加が認められ、人工合成 miR-140-3p をトランスフェクションした細胞においてこの IL-13 誘発 CD38 タンパク質 up-regulation が有意に抑制された。以上の結果より、気管支平滑筋細胞において miR-140-3p が CD38 タンパク質発現を抑制的に制御しており、喘息時には miR-140-3p 発現低下により CD38 タンパク質 up-regulation が引き起こされ、これが気道過敏性発現に関与している可能性を示唆した。
2: おおむね順調に進展している
交付申請書に記載した研究実施計画の通り、ほぼ当初の計画通り順調に進展している。
miRNA は、ある特定の遺伝子のみではなく多種の遺伝子の機能を制御していることが知られている。事実、バイオインフォマティック解析の結果、miR-140-3p のターゲット遺伝子の一つとして RhoA の可能性も示唆された。平成 25 年度では、この miR-140-3p と RhoA の関連性について検討するとともに、平成 23 年度の miRNA 網羅的解析の結果を受けて、miR-140-3p 以外の miRNAs についても喘息時の気道過敏性発現との関連性について検討して行く予定である。
該当なし
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