研究課題
平成 23 年度に行った網羅的解析の結果同定された miRNA の一つ miR-140-5p について、気管支平滑筋細胞における発現解析を行うとともに、アレルギー性気管支喘息時の気道過敏性発現との関連性について検討を行った。バイオインフォマティック解析の結果、miR-140-5p のターゲット遺伝子の一つとして Toll-like receptor 4 (TLR4) の可能性が強く示唆された。TLR4 はリポ多糖 (LPS) の受容体として知られており、喘息時の気管支平滑筋における miR-140-5p 発現低下により TLR4 up-regulation が惹起され、これが気道過敏性発現の一因となっている可能性が考えられる。事実、抗原誘発気管支喘息モデルマウスの気管支平滑筋組織において、TLR4 タンパク質発現の著明かつ有意な増加が認められた。この時、TLR4 mRNA 発現レベルには変化が認められず、マウス気管支平滑筋細胞においては miR-140-5p が TLR4発現を直接制御している可能性が示唆された。次に培養ヒト気管支平滑筋細胞 (hBSMCs) を用いて検討を行ったところ、IL-13 処置により miR-140-5p 発現の低下および TLR4 タンパク質発現の増加が認められた。しかしながら、人工合成 miR-140-5p あるいは miR-140-5p inhibitor をトランスフェクションしても TLR4 タンパク質発現レベルに変化は認められず、一方、IL-13 処置した hBSMCs において TLR4 mRNA 発現増加が認められた。したがって、ヒト気管支平滑筋細胞においては IL-13 が TLR4 の転写レベルでの変化をもたらす可能性が示唆された。以上の結果より、喘息時の気管支平滑筋細胞において TLR4 発現が増加しており、気道過敏性発現に関与している可能性が示唆された。さらに、この TLR4 up-regulation のメカニズムに種差が存在する可能性が示唆された。
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