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2012 年度 実施状況報告書

Gq蛋白質共役型受容体の細胞内選別輸送機構に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23590119
研究機関明治薬科大学

研究代表者

菱沼 滋  明治薬科大学, 薬学部, 准教授 (70211505)

キーワードG蛋白質共役型受容体 / ヒスタミンH1受容体 / Internalization / Down-regulation / クラスリン / カベオラ / リソソーム / プロテアソーム
研究概要

Gq蛋白質共役型ヒスタミンH1受容体(H1R)は、中枢から末梢に至るまで広範囲に分布し、覚醒レベル調節や即時型アレルギーなどの各種生理・病態に深く関与している。しかしながら、受容体刺激に伴うH1Rの細胞内Trafficking機構に関する研究は、ほとんど進んでいない。一般に、G蛋白質共役型受容体(GPCR)の細胞内Traffickingにおいて、アレスチンは、GPCRの細胞内C末端に結合することによって、クラスリン被覆小胞の形成に関与するとされる。ここで、H1Rの細胞内C末端は、他のGPCRに比べて極端に短く(17アミノ酸残基)、また、可視化を目的にH1Rの細胞内C末端をGFPで標識したH1Rは、野生型H1Rと異なり、脂質ラフト/カベオラを介した機構によって細胞内に輸送される(Self et al., Br. J. Pharmacol., 146, 612, 2005; Hishinuma et al., J. Neurochem., 113, 990, 2010)。従って、H1受容体のC末端に対するアレスチンの結合親和性が、H1Rの細胞内輸送におけるクラスリン/カベオラ選別輸送に関与する可能性が高いと考えられるが、受容体可視化の目的で細胞内C末端を修飾することは、H1Rの真の細胞内Trafficking機構の解明には不適当と考えられる。そこで、当該年度は、まず、H1Rの細胞外N末端にHAタグをつけた変異H1R(HA-H1R)を作成し、その細胞内Trafficking機構を解析した。その結果、HA-H1Rは、野生型H1Rと同様に、脂質ラフト/カベオラ経路ではなく、クラスリン被覆小胞を介して細胞内に輸送されることが明らかとなった。現在、H1Rの細胞内輸送におけるクラスリン/カベオラ選別機構の詳細を解明する目的で、HA-H1Rの細胞内C末端側の変異受容体を作製中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該研究は、
(1) H1受容体のInternalizationにおけるクラスリン/カベオラ選別機構
(2) H1受容体のDown-regulationにおけるプロテアソーム/リソソーム選別機構(プロテインキナーゼC/ユビキチン/プロテアソーム経路を介した即時型Down-regulation及びCaM キナーゼII/リソソーム経路を介した遅発型Down-regulation)
の解析により、個々の受容体に備えられた細胞内選別輸送機構の詳細を分子レベルで明らかにすることを目的としている。
昨年度(初年度)は、プロテインキナーゼC/ユビキチン/プロテアソーム経路を介した即時型Down-regulation機構として、第3細胞内ループSer398が関与する可能性を明らかにできたことから、目的の達成に向けて好発進できたと考えている。今年度は、H1受容体のInternalizationにおけるクラスリン/カベオラ選別機構解明の第一歩として、細胞外N末端にHAタグをつけた変異H1受容体(HA-H1R)を作成し、その細胞内Trafficking機構を解析した。その結果、HA-H1Rは、野生型H1Rと同様にクラスリン被覆小胞を介して細胞内に輸送されることが明らかとなり、今後、HA-H1Rの細胞内C末端側の変異受容体を用いた解析により、H1受容体の細胞内輸送におけるクラスリン/カベオラ選別機構の詳細が明らかになるものと期待される。

今後の研究の推進方策

(1) H1受容体のInternalizationにおけるクラスリン/カベオラ選別機構
H1受容体のInternalizationにおけるクラスリン/カベオラ選別機構として、H1受容体の細胞内C末端が関与する可能性を明らかにする目的で、細胞内C末端を変異させたH1受容体を用いて解析し、クラスリン経路を介したH1受容体の細胞内輸送がカベオラ経路に変換されるメカニズムを解明する。
(2) H1受容体のDown-regulationにおけるプロテアソーム/リソソーム選別機構
昨年度の研究から、プロテインキナーゼC/ユビキチン/プロテアソーム経路を介した即時型Down-regulationには、第3細胞内ループSer398が関与する可能性が明らかとなったことから、今後は、CaM キナーゼII/リソソーム経路を介した遅発型Down-regulationに第2細胞内ループ(Thr140・Thr142)が関与する可能性を明らかにする。

次年度の研究費の使用計画

本実験系では、培養細胞を用い、放射性リガンドによる受容体結合実験、抗体を用いた免疫組織染色などを行う。従って、試薬類として、受容体に対する放射性リガンド、各種抗体、細胞培養用試薬、また、器具類として、培養フラスコなどが必要となる。
交付予定額(直接経費:1,000千円、間接経費:300千円)は、当初の計画通り、放射性リガンド([3H]pyrilamine:100千円/9.25 MBq×2本=200千円)、抗体(抗HA抗体など:50千円/1本×4本=200千円)、牛胎児血清(30千円/1本×10本=300千円)、培養フラスコ(30千円/1箱×10箱=300千円)、培養ウェル(30千円/1箱×10箱=300千円)などに使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] The affinity of histamine for Gq protein-coupled histamine H1-receptors is predominantly regulated by their internalization in human astrocytoma cells.2012

    • 著者名/発表者名
      Shigeru Hishinuma, Yuko Sato, Chizuru Akatsu, Masaru Shoji
    • 雑誌名

      J Pharmacol Sci

      巻: 119 ページ: 233-242

    • DOI

      10.1254/jphs.11054FP

    • 査読あり
  • [学会発表] ヒト・U373MGアストロサイトーマ細胞におけるヒスタミン刺激に伴うH1受容体のヒスタミン親和性制御機構の解析2013

    • 著者名/発表者名
      赤津ちづる、佐藤祐子、菱沼 滋、庄司 優
    • 学会等名
      日本薬学会第133年会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      20130327-20130330
  • [備考] 菱沼 滋 研究室(薬効学)

    • URL

      http://www.my-pharm.ac.jp/g_lps/lifescience.html#labo29

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公開日: 2014-07-24  

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