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2013 年度 実施状況報告書

Gq蛋白質共役型受容体の細胞内選別輸送機構に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23590119
研究機関明治薬科大学

研究代表者

菱沼 滋  明治薬科大学, 薬学部, 准教授 (70211505)

キーワードヒスタミンH1受容体 / G蛋白質共役型受容体 / Internalization / Down-regulation / クラスリン / リソソーム / ユビキチン / プロテアソーム
研究概要

アゴニスト刺激に伴うG蛋白質共役型受容体(GPCR)の細胞内輸送には、G蛋白質共役型受容体キナーゼ/アレスチン/クラスリンを介した小胞輸送経路が関与することが知られている。一般に、GPCRの細胞内輸送において、アレスチンは、GPCRの細胞内第3ループ/C末端に結合することによって、クラスリン被覆小胞の形成に関与するとされる。ここで、ヒスタミンH1受容体(H1R)の細胞内C末端は、他のGPCRに比べて極端に短く、また、可視化を目的にH1Rの細胞内C末端をGFPで標識したH1Rは、野生型H1Rと異なり、脂質ラフト/カベオラを介した機構によって細胞内に輸送されることが知られている(Self et al., Br. J. Pharmacol., 146, 612, 2005; Hishinuma et al., J. Neurochem., 113, 990, 2010)。当該研究では、昨年度までに、H1Rの細胞外N末端をHAタグで標識した変異H1R(HA-H1R)を作成し、その細胞内輸送機構を解析した。その結果、HA-H1Rは、野生型H1Rと同様に、クラスリン被覆小胞を介して細胞内に輸送されることが明らかとなった。そこで、今年度は、H1Rの細胞内輸送におけるC末端の役割を明らかにする目的で、HA-H1Rの細胞内C末端変異受容体3種(HA-T478A、HA-S487A、HA-S487trancation)を作製して解析した。その結果、HA-T478A及びHA-S487Aは、野生型H1Rと同様に、アゴニスト刺激に伴いクラスリン被覆小胞を介して細胞内に輸送されること、一方、C末端1残基を切断したH1R(HA-S487trancation)では、細胞内輸送が阻害されることを見出した。従って、H1Rの細胞内C末端は、細胞内輸送に極めて重要な役割を果たしていると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該研究では、(1)H1受容体のInternalizationにおけるクラスリン/カベオラ選別機構及び(2) H1受容体のDown-regulationにおけるプロテアソーム/リソソーム選別機構(プロテインキナーゼC/ユビキチン/プロテアソーム経路を介した即時型Down-regulation及びCaM キナーゼII/リソソーム経路を介した遅発型Down-regulation)の解析により、個々の受容体に備えられた細胞内選別輸送機構の詳細を分子レベルで明らかにすることを目的としている。
初年度は、プロテインキナーゼC/ユビキチン/プロテアソーム経路を介した即時型Down-regulation機構として、第3細胞内ループS398が関与する可能性を明らかにした。次年度は、H1受容体のInternalizationにおけるクラスリン/カベオラ選別機構解明の第一歩として、細胞外N末端にHAタグをつけた変異H1受容体(HA-H1R)を作成し、HA-H1Rは、野生型H1Rと同様にクラスリン被覆小胞を介して細胞内に輸送されることを確認した。今年度は、HA-H1Rの細胞内C末端の変異受容体を用いて解析した。その結果、C末端のアミノ酸1残基の欠如により、細胞内移行が阻害されることを見出し、H1受容体の細胞内輸送におけるC末端の重要性を明らかにした。今後、さらにC末端を修飾した受容体を作成して解析することにより、H1受容体のInternalizationにおけるクラスリン/カベオラ選別機構の詳細が明らかになるものと期待される。

今後の研究の推進方策

(1) H1受容体のInternalizationにおけるクラスリン/カベオラ選別機構
H1受容体のInternalizationに、H1受容体の細胞内C末端が関与することが明らかとなったことから、H1受容体の細胞内C末端をさらに修飾・改変した変異H1受容体を用いて解析することにより、クラスリン経路を介したH1受容体の細胞内輸送がカベオラ経路に変換されるメカニズムを解明する。
(2) H1受容体のDown-regulationにおけるプロテアソーム/リソソーム選別機構
プロテインキナーゼC/ユビキチン/プロテアソーム経路を介した即時型Down-regulationには、第3細胞内ループS398が関与する可能性が明らかとなったことから、今後は、CaM キナーゼII/リソソーム経路を介した遅発型Down-regulationに第2細胞内ループ(T140・T142)が関与する可能性を明らかにする。

次年度の研究費の使用計画

年度末に預金利息がついたため。
次年度に、物品費として使用する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Molecular determinants responsible for sedative and non-sedative properties of histamine H1 receptor antagonists.2014

    • 著者名/発表者名
      Yoshihiro Uesawa, Shigeru Hishinuma, Masaru Shoji.
    • 雑誌名

      J. Pharmacol. Sci.

      巻: 124 ページ: 160-168

    • DOI

      10.1254/jphs.13169FP

    • 査読あり
  • [学会発表] ヒスタミン刺激に伴うヒト・ヒスタミンH1受容体の細胞内輸送はH1受容体のC末端により制御される2014

    • 著者名/発表者名
      野澤大樹、赤津ちづる、菱沼 滋、庄司 優
    • 学会等名
      第87回 日本薬理学会年会
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      20140319-20140321
  • [学会発表] ヒスタミンH1受容体に対する薬物親和性のNa+によるアロステリック制御2014

    • 著者名/発表者名
      小坂貴代江、赤津ちづる、福井裕行、菱沼 滋、庄司 優
    • 学会等名
      第87回 日本薬理学会年会
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      20140319-20140321
  • [備考] 菱沼 滋 研究室 (薬効学)

    • URL

      http://www.my-pharm.ac.jp/g_lps/lifescience.html#labo29

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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