研究概要 |
Notch-sparing ガンマセクレターゼ阻害剤の構造要件解明のため,アミドリンカー体チアゾリジン-2,4-ジオン誘導体,アクリル酸誘導体,およびスルホンアミドリンカー体チアゾリジン-2,4-ジオン誘導体の合成法を確立した. 各化合物のNotch-sparing ガンマセクレターゼ阻害活性評価,Photoaffinity Labelling競合アッセイによる作用部位の検討を行った.ガンマセクレターゼアッセイでは,酸性頭部二重結合がA産生抑制,A産生選択性向上を明らかにし,プロピオン酸においては側鎖導入によるA産生抑制活性向上を明らかにした.疎水性部においては,4位トリフルオロメトキシ基,3位にフッ素原子導入でA産生抑制活性,選択性向上を明らかにした.リンカー部においては,アミドリンカーは-CH2-NH-CO-構造がNotch-sparing ガンマセクレターゼ阻害剤として適し,逆アミド構造ではA産生抑制活性は消失し,Notch切断活性が向上することを明らかにした. Notch選択的阻害活性は,スルホンアミドリンカー体構造においても確認した.したがって,リンカー部位の配置を変換することでA産生に対する選択性とNotch切断に対する選択性を制御できることが示唆された. 代表化合物を用いた既知阻害剤のフォトアフィニティプローブとの競合実験の結果,申請者のA産生選択的なNotch-sparing ガンマセクレターゼ阻害剤は,既知阻害剤とは異なる作用部位を有し,プレセニリン1(PS1)に結合することでアロステリックな影響を与える可能性を示唆することができた。 本研究成果は,ガンマセクレターゼの制御機構解明の一助となり,アルツハイマー病治療薬として新たな候補化合物を提供する.
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