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2012 年度 実施状況報告書

ADAM17および転写因子snailを標的としたがん浸潤阻害剤の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23590131
研究機関熊本大学

研究代表者

岡本 良成  熊本大学, 大学院生命科学研究部, 助教 (20194409)

キーワード癌 / 浸潤・転移 / ADAM17 / 亜鉛配位子
研究概要

癌の治療を困難にしている一因として腫瘍細胞の転移がある.腫瘍細胞の転移に関与する蛋白として,上皮間葉転移に関与する転写因子Snailと,細胞の移動に関連するプロテアーゼADAM10およびADAM17が見いだされている.これらの蛋白は,機能発現に亜鉛が必須であり,亜鉛配位子を蛋白に作用させ,蛋白から亜鉛を引き抜く,あるいは蛋白中で亜鉛に配位させることができれば,その機能を阻害することができると考えられる.本研究では,我々が開発した亜鉛配位しにこれらの蛋白を特異的に認識する側鎖を連結した化合物を設計・合成することで,癌の浸潤・転移を阻害する新規阻害剤の創製を目的とした.
今年度は,ADAM17の認識部位としてアセチレンを持った側鎖の合成を検討し,配位子の側鎖アミノ基へスルホンアミドを形成することで連結することができた.また,カルバメートを形成させて認識部位を導入する方法では,これまで収率にばらつきがあったチアゾリジン環の開環反応を,一定の収率で行うことができる条件を見いだした.このことにより,より柔軟に配位子を合成することが可能となった.
今後は,認識部位が持つ官能基の性質や,配位子のどこに認識部位を連結させるかなどを考慮し,それぞれに最適な合成ルートを設定し研究をすすめていく.また合成したそれぞれの化合物についていろいろな活性試験を行い,それらの結果を基にすることでより強力な活性を持つと考えられる化合物の設計・合成をすることができると期待される.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ADAM17の認識部位としてアセチレンを持った配位子の合成に成功した.また,カルバメートを形成させて認識部位を導入する方法では,チアゾリジン環の開環反応を安定して行う条件を見いだした.

今後の研究の推進方策

配位子の持つピリジン環の4位への認識部位の導入に関して,より効率的に認識部位を導入することができるように反応の検討を行う.また,側鎖部分に関しては,システインやシステイノールのようにアミノ基ではない部分に認識部位を連結させることができるものを合成していく.
また,合成した化合物の生物活性試験を行い,その結果を基により強力な活性を持つと考えられる化合物の設計・合成を展開していく.

次年度の研究費の使用計画

ADAM17の認識部位として末端にアミノ基や水酸基を持つ化合物の合成,また側鎖にシステインを持つ配位子の合成など有機合成に必要な試薬やガラス器具等の購入に使用する.その他,研究成果発表や情報収集のための学会参加,研究打合せ等の旅費として使用する.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Identification of a unique nsaid, fluoro-loxoprofen with gastroprotective activity2012

    • 著者名/発表者名
      Shintaro Suemasu, Naoki Yamakawa, Tomoaki Ishihara, Teita Asano, Kayoko Tahara, Ken-ichiro Tanaka, Hirofumi Matsui, Yoshinari Okamoto, Masami Otsuka, Koji Takeuchi, Hidekazu Suzuki, Tohru Mizushima
    • 雑誌名

      Biochemical Pharmacology

      巻: 84 (11) ページ: 1470-1481

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A versatile intermediate for the systematic synthesis of all regioisomers of myo-inositol phosphates.2012

    • 著者名/発表者名
      Masuda Takashi, Anraku Kensaku, Kimura Mitsuhiro, Sato Kaori, Okamoto Yoshinari, Otsuka Masami
    • 雑誌名

      Synthesis

      巻: 44(6) ページ: 909-919

    • 査読あり
  • [学会発表] ファルネシルトランスフェラーゼの特異的阻害を目的とした亜鉛キレーターの設計及び合成2013

    • 著者名/発表者名
      田中亜友美,岸田明日美,小畑恵美子,岡本良成,梅澤一夫,大塚雅巳
    • 学会等名
      日本薬学会第133年会
    • 発表場所
      神奈川県横浜市・パシフィコ横浜
    • 年月日
      20130328-20130330
  • [学会発表] 亜鉛フィンガータンパク質阻害剤SN-1の作用機序解明を目指した研究2012

    • 著者名/発表者名
      園田祥子,安楽健作,古賀涼子,田口祐,井上純一郎,岡本良成,藤田美歌子,大塚雅巳
    • 学会等名
      第29回日本薬学会九州支部大会
    • 発表場所
      熊本県熊本市・熊本大学薬学部
    • 年月日
      20121208-20121209
  • [学会発表] 人工亜鉛キレーターを持つADAMファミリーメタロプロテアーゼ阻害剤の合成2012

    • 著者名/発表者名
      川田代康介,岡本良成,佐谷秀行,大塚雅巳
    • 学会等名
      第29回日本薬学会九州支部大会
    • 発表場所
      熊本県熊本市・熊本大学薬学部
    • 年月日
      20121208-20121209
  • [学会発表] ファルネシルトランスフェラーゼの特異的阻害を目的とした亜鉛キレーターの設計および合成2012

    • 著者名/発表者名
      田中亜友美,岸田明日美,小畑恵美子,岡本良成,梅澤一夫,大塚雅巳
    • 学会等名
      第29回日本薬学会九州支部大会
    • 発表場所
      熊本県熊本市・熊本大学薬学部
    • 年月日
      20121208-20121209
  • [学会発表] イノシトールリン酸を基盤とした生物機能性分子の設計と合成2012

    • 著者名/発表者名
      安楽健作,舛田岳史,筑葉晃一,立石大,岡本良成,藤田美歌子,大塚雅巳
    • 学会等名
      第38回反応と合成の進歩シンポジウム
    • 発表場所
      東京都江戸川区・タワーホール船堀
    • 年月日
      20121105-20121106

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公開日: 2014-07-24  

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