日本は急速に高齢化社会に移行しており、認知症患者の増加は国家の基盤を揺るがす社会問題となっている。本研究はアルツハイマー病克服を目指し、発症の原因物質であるAβの産生に関与するBACE1およびAβ凝集の阻害剤を開発することを目的とする。BACE1阻害剤においては、ニトロ基やチアジアゾール骨格を有するYHI-309およびYHI-764(IC50 = 13 nMおよび26 nM)の開発に成功した。これらの化合物は膜透過性が改善されていると思われ、医薬候補化合物として有望である。Aβ凝集阻害剤においても、特定のAβコンホマーを認識し、凝集を阻害するYHI-008およびYHI-009を見いだした。
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