研究概要 |
これまでに、9-cis-レチノイン酸のシクロヘキセン環を種々変換したところ,単環テルペノイドである(-)-メントンに置き換えた誘導体MentViMeがRXR選択的アゴニストとして機能することを明らかにした。そこで、MentViMeのRXR 選択性向上と安定性の改善を期待して、MentViMeと1,1,4,4-テトラメチルテトラリン構造をハイブリッドさせたメントン由来の二環性骨格を有する誘導体MentPhMe、MentPhE t及びMentPhCF3をデザインし、その合成と転写活性を検討した。メントンから誘導してトリフラート体と、メチル基、エチル基およびトリフルオロメチル基を有する共役スズエステルを調製し、我々が見出したカップリング条件で連結して合成した。MentPhMe及びMentPhEtのRXR及びRAR転写活性能くを測定した結果、RXR及びRAR活性化能がいずれのアイソタイプについても増強されることを見出した。また化合物MentPhEtは他の核内受容体であるPPARγやLXRαに対しても転写活性を殆ど示さず、尚且つRXRαとのヘテロ二量体であるPPARγ/RXRαやLXRα/RXRαに対してもNEt-TMNと比較して転写活性を抑えたパーシャルアゴニスト活性を示すことが分かった。この結果は、RXRフルアゴニストに見られるトリグリセリド上昇などの副作用回避、さらにLXR/RXR 活性化に起因したアルツハイマー治療効果などにも通じると考えられることから、現在MentPhCF3を含めてその活性を測定している。 一方、ヘテロ環とベンゼン環が縮合した化合物については、モノプロパルギルエーテル化したヒドロキノン誘導体からの合成法を確立することができた。今後、この方法によりより多くの化合物を合成し、生理活性について検討する。
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