研究課題
平成23~25年度に実施した研究は、細胞膜エストロゲン受容体の本体を薬理学的に明らかにし、その受容体作動薬について検討することであった。1)副腎髄質から細胞膜を分離して、その細胞膜に対する[3H]17beta-estradiolの特異的結合に影響する植物性エストロゲンや植物フラボノイド化合物をスクリーニングした。その結果、大豆成分でイソフラボンのゲニステイン、ダイゼインや葡萄の果皮成分で赤ワインのポリフェノールの1つであるレスベラトロールが低濃度で特異的結合を阻害し、細胞膜エストロゲン受容体作動薬としての可能性を示した。2)さらに、これら植物性エストロゲンや植物フラボノイド化合物はアセチルコリン(ACh)によるカテコールアミン(CA)生合成や分泌の促進を抑制した。3)平成25年度に実施した研究結果は、選択的エストロゲン受容体調整薬のラロキシフェンとタモキシフェンが、細胞膜の[3H]17beta-estradiol結合を修飾し、ACh刺激によるCA生合成や分泌に対して抑制した。さらに、フラボノイド化合物で蜜柑果皮成分のノビレチンは、それ自身でCA生合成を促進したが、AChによるCA生合成の促進作用に対して抑制した。さらに、4)レスベラトロールは、SK-N-SH細胞におけるノルアドレナリントランスポーター(NAT)に対して低濃度では促進し、高濃度では抑制した。以上より、植物性エストロゲンや植物フラボノイド化合物は、細胞膜エストロゲン受容体に作用することやストレス負荷による交感神経ー副腎髄質系を介したCA動態を抑制することにより抗ストレス効果を発揮する可能性を示唆した。これらの結果を、論文や図書として報告すると同時に、第85、86、87回日本薬理学会年会(2012~2014年)及び第10回国際CAポジウム(2012年)等にて発表した。
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