研究課題
発達期でのTBBPA曝露下RSウイルス感染病態において、その増悪化にIL-24発現が先行する(inducer)のか、あるいは進行後の発現(effector or indicator)なのかを明らかとすることが重要である。今年度はRAW264.7細胞培養系を利用して、ウイルス感染後の時間経過に伴うIL-24遺伝子発現の変化を検討した。前年度確立したリアルタイムRT-PCR法を用いてIL-24の遺伝子発現量をモニターした結果、前年度報告した感染2日後にTBBPA 10uM添加による明確な発現上昇が見られなかった。そこでRAW264.7細胞の培養条件を精査したところ、このIL-24の遺伝子発現は細胞の状態を強く反映することが分かった。現在、細胞の播きこみ前の状態を厳密に制御することでIL-24遺伝子発現の上昇を確認できるようになった。IL-24の変動とともに変化する可能性が高い炎症性サイトカインとして、TNF-alphaの動きをRAW264.7細胞上清中で測定した。しかしながら、IL-24の変動とリンクした動きが認められなかった。そこで他の指標を見出すため、前年度取得したRSウイルス感染マウス(感染1日後)の肺胞洗浄液(BALF)中のサイトカイン・ケモカインについてタンパクアレイを利用して解析した。TBBPA周産期曝露によりウイルス感染時に変動する数種のサイトカイン・ケモカインを見出し、精査を実施している。
3: やや遅れている
RAW264.7細胞におけるIL-24遺伝子の発現量検が細胞の培養状態で大きく変化することが判明し、培養条件を最適化するのに多くの時間を要した。また、TNF-alphaはRSウイルス感染時のTBBPAによる変動指標として適していないことが分かり、RNAiの利用による検討までできなかった。一方、マウスBALFサンプルを利用したタンパクアレイ解析により、変動指標として新たな炎症性サイトカインを見出せた。
最近の報告でIL-24の発現上昇により、がん細胞などでアポトーシスが強く誘導されることが分かってきた。RAW264.7細胞を用いたIL-24発現と炎症性サイトカイン産生発現、またはアポトーシス誘導の相関性について検討を行う。第一にIL-24遺伝子発現をRNAiでノックダウンさせてこれらの表現型への影響を検討する。次に、最近IL-24の発現上昇作用が報告されているNSAIDs(スリンダク等)処理を行い、同様の検討を行う。このようにしてIn vitroで得られた知見を基に、RSウイルス感染マウスモデルにおいて、抗IL-24抗体を使用するなど、肺炎病態増悪化におけるIL-24の関与を明確にする。
抗体、ELISAキットなど生化学試薬、リアルタイムPCR、siRNAなど遺伝子工学用試薬、培養用試薬、実験動物(マウス)、NSAIDsなど一般試薬、国際学会発表費用(EuroTox2013)
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J. Nat. Med.
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J. Nutr. Biochem.
Int. Arch. Allergy Immunol.
巻: 160 ページ: 27-36
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