研究課題/領域番号 |
23590165
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
八代 聖基 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 主任研究員 (90399155)
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キーワード | マラリア原虫 / 細胞チップ / 薬剤スクリーニング |
研究概要 |
マラリア原虫はヒトの赤血球に寄生を繰り返し、年間感染者数3億人以上うち200万人以上が死亡している人類史上最も重篤な寄生虫 感染病である。感染症マラリアの深刻な問題としてキナクリンに代表される抗マラリア薬に対する薬剤耐性マラリア原虫の出現や、地 球規模の環境変動(特に温暖化)・交通手段の発達によるグローバル化によって感染者数の増加・感染地域の拡大が上げられる。このような背景のなかWHOなどの国際機関ではマラリア撲滅指針の一つに「早期発見および適切な早期治療」を掲げている。しかし診断法に関しては、イムノクロマト法やPCR法が開発されてはいるものの、検出感度や検出時などの面から今だ100年以上前に確立されたギムザ染色による顕微鏡下での観察診断が主流とされている。 そこで申請者は小胞輸送関連タンパク質を標的としたマラリア特異的抗体と、大量の血球細胞を一定数ずつ正確に並べる(整列させる)事ができる細胞チップと名付けた微細加工プラスチック基盤を用いることで、大量(数百万個)の血球細胞の中からたった一個のマラリア感染赤血球を見つけ出すことを可能とする簡便かつ迅速なマラリア診断手法を確立しようと考えた。本申請においてこれまで研究してきたマラリア原虫の小胞輸送関連タンパク質に関する生物学的研究と大量の細胞を正確に並べる工学的技術を融合し、分離・濃縮・検出をワンステップで行うことで数百万個(300万個程度)の赤血球中からたった一個のマラリア感染赤血球の有無を15分程度で検出する新しい高感度マラリア感染赤血球迅速検出法を構築するため今年度は300万個を一度に並べることを可能とする細胞チップを作成し、これとDNAスキャナーを使ってマラリアの検出の原理をほぼ構築できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回の研究遂行に当たって重要な要素の一つに高集積度(300万個の大量の赤血球を並べる)を可能とするマイクロデバイスを作成すること、さらにはそれらを用いた正確な検出技術が必要と考えて居いる。。チップの形状・素材・表面処理等をコントロールすることで赤血球細胞に特化したチップを作成し、1年年目に赤血球が270万個程度並ぶことを確認した。2年目にDNAスキャナーを使ってマラリアの検出の原理をほぼ構築できた。2ね目の予定は概ね完了したと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
初年度は300万個を一度に並べることを可能とする細胞チップを作成し、2年目にはこれとDNAスキャナーを使ってマラリアの検出の原理をほぼ構築できた。これにより本研究課題の2つの重要な研究要素をクリアするこでき目的に大きく近づいたと言える。今後は細胞チップ上でどのように(抗原抗体反応による染色、もしくはその他の簡便な染色法の選択、染色された細胞の高速・高感度な検出手法の選定)検出するのか、またいかに簡単な方法(手間を必要としない)にするのかを検討する。最終年度ではそれらの系を用いて抗マラリア薬添加時に生存するマラリア原虫検出系を確立する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1年目の研究において薬剤耐性マラリアの検出には培養マラリア原虫以外に全血中(白血球・血小板等・血清)から効率的にマラリ アを検出を想定する必要が出てくる可能性が高い事が明らかとなってきている。研究計画を立案した当初の問題点・研究解決案に加えて全血からの測定も想定に入れる。そのため本来の実験遂行に必要な消耗品に加え新たな血球分離技術も必要であり国内外の研究者・研究機関との情報収集・連携が必要になるものと思われる。そのために交通費・学会発表等の予算が多く必要になるもと考えている。
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