研究課題/領域番号 |
23590172
|
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
佐久間 勉 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 准教授 (30250468)
|
研究分担者 |
河崎 優希 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 助教 (30432107)
|
キーワード | 性差 / CYP / 発現調節 / マウス / エピジェネティック |
研究概要 |
初年度までにCyp3a41遺伝子5’上流-99/-87領域へのHNF4αの結合が、クロマチン構造の雌雄における違いのために雌雄差(メス>オス)が生じ、メス特異的発現の一因となっていることを示した。しかし、当該領域でのHNF4α結合の雌雄差は4倍程度であり、その差を増幅し20倍以上のmRNA発現の差となるために何らかのメカニズムが存在すると考えた。クロマチン構造に雌雄差があり、HNF4αの結合量に雌雄差が生じるとしたら、他の転写因子の結合性も同様に雌雄差が生じ相乗的効果によって大きな転写活性の違いが生じるという仮説を立て、HNF4αと他の転写因子の当該領域あるいは近傍での相互作用の可能性を検討した。その候補として転写因子COUP-TFIIとの相互を検討した。この因子に注目したのは、HNF4αとの転写促進・転写抑制を含む様々な相互作用が知られているためである。Cyp3a41遺伝子-163/+61領域を含むレポーター遺伝子はHNF4αとCOUP-TFII発現プラスミドの共導入によって転写活性が上昇し、特にメス由来肝細胞で強い協調的転写促進作用が観察された。5’上流-163までの領域でCOUP-TFIIが直接DNAに結合する領域を検索した結果、-152/-132領域に結合活性が見いだされた。しかし、レポーター遺伝子アッセイによる検証では当該領域の機能的関与は明確にならなかった。これらの結果よりCOUP-TFIIが5’上流-163までの領域において何らかの方法でHNF4αと相互作用をし、Cyp3a41遺伝子のメス特異的発現に寄与している可能性が考えられる。遺伝子上にCOUP-TFIIの直接的結合部位が見つからなかったことから、HNF4αとのタンパク質―タンパク質相互作用による転写促進の可能性を想定し検討を続けている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究ではChIPアッセイによる解析を用いているが、遊離細胞ではなく臓器の組織片を材料とした場合データにばらつきが生じるという問題が生じた。平成24年度にその解決に向け検討を行ったが、良好な結果は得られなかった。また、年度半ばより実験室がある建物の耐震改修工事が始まり、初代培養細胞の調製に様々な不都合が生じた。それらの理由により、研究計画の進行の遅れが解消されなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
平成24年度も上述の理由のため平成23年度からの進行遅延が解消されなかった。平成25年度は、ChIPアッセイにおいては研究材料を肝臓組織から遊離肝細胞変更し遅れを取り戻す予定である。耐震改修工事も3月に終了したため、当初予定の計画に沿った研究ペースに戻れると考えている。
|
次年度の研究費の使用計画 |
上述の理由のため平成24年度は当初予定の実験の一部を実施することができず、研究費の一部は次年度に使用することとなった。従って、未実施の検討項目を平成25年度に実施する際には、次年度に繰り越した分の助成金を充て実施する。また、平成25年度に計画されていた実施項目については、予定通り平成25年度に配分される助成金を用いて実施する。
|