研究課題
最終年度となる平成26年度に得られた主な成果は以下のとおりである。1. ゲムシタビンの肝取り込みの非線形性を定量的に把握するためのin vitro実験として、ラット肝細胞を用いた取り込み実験を継続して行った。Na+非依存性の平衡型トランスポーターであるENT1およびENT2の選択的阻害剤であるNBMPRを用いた実験、Na+依存性の検討および速度論的解析からENT1およびENT2の関与が示唆された。さらに、低濃度のNBMPR存在下での速度論的解析により、高親和性および低親和性の速度過程がそれぞれENT1およびENT2によって担われている可能性が示された。さらに、ヒト凍結遊離肝細胞を用いた取り込み実験により、ラットと同様に親和性の異なる二つの飽和過程が存在することが確認された。これらの結果から、静脈内投与の臨床投与量(1,000 mg/m2)で肝動注を行った場合に想定される血中ゲムシタビン濃度において、高親和性取り込み過程は完全に飽和している一方、低親和性取り込み過程の飽和は限定的であると考えられる。これらin vitro実験の結果は、ラット肝潅流実験の結果を踏まえて考察すると、臨床第1相試験を400~1,500 mg/SLV(標準肝容積)で行うことが妥当であると考えられる。これらの結果は、10月に米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催された、第29回日本薬物動態学会(JSSX)・第19回国際薬物動態学会(ISSX)合同年会にて発表を行った。2. 肥満時のタクロリムスのバイオアベイラビリティーの上昇について、ラット肥満モデルおよびBMIの異なる患者データを用いて得られた成果を論文化した。さらに、移植直後の静脈内投与から経口投与に切り替えた患者のTDMデータを用いてさらに詳細な検討を追加した。
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