研究課題
平成25年度における研究では、有機アニオントランスポーター(OATP)上に特徴の異なるMBSが存在することを示し、OATPの基質薬物間で輸送部位が異なるだけでなく、同一薬物であってもその濃度/投与量により主たる輸送部位が変化する可能性を見出した。したがって、薬物間相互作用(DDI)をより精度高く予測するためには対象となる薬物がOATPの基質であるか否かの評価に留まらず、その投与量までも考慮して評価する必要性があると考えられた。一方、薬物の消化管吸収にはトランスポーターのみならずチトクロームP450(CYP)に代表される代謝酵素なども有意に関与していることが知られる。そこで平成25年度における研究では、CYP3Aを介したDDIを適切に予測できる方法論を確立することを目的とした詳細な検討を加えた。その結果、CYP3Aを介したDDIはCYP3A5遺伝子型および発現レベルにより規定されている可能性が示された。また、CYP3A5代謝過程を考慮したモデル解析により、CYP3A5発現レベル依存的なIC50値を予測できることが実証された。さらに、CYP2C19を介した薬物代謝における個体差について、主要な3遺伝子多型(CYP2C19*1B、*2Aおよび*17)の組み合わせ(ディプロタイプ)に着目して詳細な検討を試みた。その結果、CYP2C19を介した薬物代謝の個体差がディプロタイプに起因したCYP2C19発現レベルの違いに起因していることが示唆された。以上の成果を含め、平成23-25年度の研究全体を通じ、薬物の吸収動態、体内動態ならびに相互作用を理解する上で極めて重要な知見を収集することが出来た。今後、これらの成果がさらなる応用発展を遂げ、新しい薬物吸収性評価システムの提唱を促し、製薬企業における医薬品開発の効率化、さらには臨床における医薬品の適正使用に貢献できるものと期待される。
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