研究課題/領域番号 |
23590178
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
花輪 剛久 東京理科大学, 薬学部, 教授 (00302571)
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研究分担者 |
小口 敏夫 山梨大学, 医学部附属病院, 教授 (30169255)
飯嶋 哲也 山梨大学, 医学部附属病院, 講師 (70324209)
田口 光正 独立行政法人日本原子力研究開発機構, その他部局等, 研究員 (60343943)
廣木 章博 独立行政法人日本原子力研究開発機構, その他部局等, 研究員 (10370462)
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キーワード | ハイドロゲル / 電子線 / 末梢神経障害 / 疼痛緩和 |
研究概要 |
【研究目的】がん化学療法において末梢神経障害は手足のしびれ感、痛み、感覚が鈍くなるなどの症状を示し、程度によっては薬剤の変更、化学療法の中断を余儀なくさせることから、がん患者が早期に治療を中止する最も多い理由となっている。抗がん剤投与により引き起こされる末梢神経障害には対症療法としてケタミン、ガバペンチン、サルポグレラートなどを経口投与するが、これらの医薬品は苦味・不快味を有し、患者の医薬品服用への意欲を低下させる原因となっており、経口投与に替わる投与形態が望まれている。 本研究では、患部に直接医薬品を適用する貼付剤の開発を目的とし、水溶性の高分子溶液にγ線を照射することにより、有機溶媒を用いず、高分子間を橋架けして薬物担体とした「末梢神経障害治癒効果を有する医薬品を放出する機能を持つ外用剤(皮膚貼付型ハイドロゲル)」を新規に調製し、実用化に向けた製剤学的検討を行った。 【方法】ハイドロゲルの調製は、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)の各種水溶液に電子線を種々の線量で照射した。ゲル分率の測定、膨潤度の測定、強度の測定、付着力の測定、吸水量の測定、ニトロセルロース膜を用いたフランツ拡散セルによる薬物放出量の測定により、ハイドロゲルの物性を評価した。 【結果・考察】MC、HPC、HPMC各種水溶液への電子線照射により、ハイドロゲル形成が認められた。ハイドロゲルのゲル分率は、照射線量の増加に伴い増加した。膨潤度は照射線量の増加に伴い減少し、膨潤度の増加とともにゲル強度は低下する傾向を示した。また、いずれの条件で調製したゲルも約1時間で急激に吸水する事が明らかになった。以上の結果より、電子線照射により調製したハイドロゲルは様々な物性を示し、特に、その吸水膨潤挙動から、薬物担体へ応用可能であると考えられた。
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