本研究では、アミノグリコシド系抗生物質の腎障害と密接に関与する細胞内移行機構について精査した。培養腎上皮細胞を用いて解析した結果、これまで示されてきたエンドサイトーシス介在性輸送に加えて、エンドサイトーシスに依存しないゲンタマイシン(GM)の細胞内移行が認められた。そして、この輸送にはTRPVカチオンチャネルが関与する可能性が示唆された。チャネルを介してGMが細胞内に移行した場合、GMは直接細胞質に分布することでミトコンドリアに影響を及ぼしやすくなるため、細胞毒性の発現リスクが高まると予想される。以上より、TRPVチャネル活性の変動がアミノグリコシド腎毒性の発現に影響する可能性が示唆された。
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