研究課題/領域番号 |
23590190
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
武田 泰生 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 教授 (60245462)
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研究分担者 |
池田 龍二 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 准教授 (50398278)
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キーワード | アミロイド前駆蛋白質 / AICD / 神経分化 / アルツハイマー型認知症 |
研究概要 |
【研究目的】アミロイド前駆タンパク質(APP)は神経変性疾患であるアルツハイマー病(AD)の原因遺伝子として知られている。近年APPから産生されるAPP intracellular domain (AICD) もADの病理的特徴を引き起こす可能性があることが示唆されており、AD患者脳での蓄積も報告された(Kaushik Ghosal et al., 2009)。本研究では、①マウス胚性腫瘍 (EC) 細胞であるP19C6細胞を用いて、AICDの産生を調節する薬剤の探索及び②レチノイン酸(RA)処理下における各種分化関連遺伝子発現との関連性を検討した。 【対象・方法】①レチノイン酸(RA)処理下におけるAICD産生の変化についてWestern blot法により検討した。コントロールとして,イブプロフェン(AICDを増加させる報告がある)を使用した。②P19C6細胞分化過程においてAICD安定発現株の作製を行った。 【結果】①イブプロフェン処理下でAICDが増加する傾向が見られ、レチノイン酸処理下でAICD(-CTF)に減少傾向がみられた。②未分化状態のP19C6細胞において、APP及びAICDが発現していることを確認した。AICD安定発現株は構築できなかった。 【考察及び結論】P19C6細胞にAICD遺伝子を導入した安定発現株を構築しようとしたが、細胞導入効率が悪く, 細胞に遺伝子が導入できなかった。そこでさまざまな試薬にて導入効率を検討したところ,P19C6細胞への高い遺伝子導入効率を得る事ができ,また一過性発現においても充分導入できることが可能になったことから,神経分化関連遺伝子群の網羅的な解析を進めていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の研究計画に基づきAICDの安定発現株の樹立を目指したが,細胞への遺伝子導入効率の問題が浮上したため,導入効率の検討を行い,導入の問題はクリアされた。また,低分子AICDの検出方法を検討し,Western blot法によるAICDの検出が可能となった。しかし,研究の進行は遅れ気味である。
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今後の研究の推進方策 |
低分子であるAICD(分子量;約5kDa)の検出方法は確立されたため,AICD産生を調節する薬剤の探索は可能となった。今後AICD安定細胞株の樹立とともに薬剤探索についても精力的に行っていく。今年度の研究費としては,マイクロアレイ解析,ターゲット遺伝子の抗体等の費用を計上する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
H25年度には,24年度で予定していたAICD安定発現株を用いたDNAマイクロアレイ解析を行い、AICDが標的とする遺伝子の仲でアポトーシス関連の遺伝子の同定を行い、次の申請、すなわち標的遺伝子発現制御に関する研究ならびに治療戦略への応用につなげていきたい。
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