研究課題/領域番号 |
23590193
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
菊池 千草 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 講師 (20444987)
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研究分担者 |
松永 民秀 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (40209581)
今枝 憲郎 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30347398)
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キーワード | 糖尿病 / 食後高血糖 / protein kinase C / eNOS / スーパーオキシド |
研究概要 |
食後高血糖モデル動物としてOtsuka Long-Evans Tokushima Fatty (OLETF) ラットを用い,コントロールとしてOLETFラットと遺伝的に近いが糖尿病を発症しないLong-Evans Tokushima Otsuka (LETO) ラットを用いた.24週齢よりアナグリプチンを6週間経口投与し,非投与ラットと比較した.アナグリプチン投与6週間後の耐糖能試験の結果では,投与しなかったラットと比較し,空腹時血糖値の差はなかったが,糖負荷30分後より有意に血糖値の上昇が抑制されていた.大動脈のスーパーオキシド産生に関しては,OLETFラットはLETOラットと比較し有意に増加していたが,アナグリプチンを慢性投与すると増加が認められなかった.さらに,アナグリプチンを慢性投与したラットから採取した血管をアナグリプチンで処理したところ,スーパーオキシド産生増加はさらに抑制された.糖負荷後血糖値の上昇を抑制していたことから,アナグリプチンは食後の高血糖も抑制すると考えられる.アナグリプチンの慢性投与は大血管のスーパーオキシド産生増加を抑制していたが、その機序として食後高血糖の抑制が考えられる.以上のことより,アナグリプチンは食後高血糖を抑制することで,大血管障害を抑制することが期待されるが,アナグリプチンが直接的に血管のスーパーオキシド産生増加を抑制する可能性も残されており、今後の研究課題である. Streptozocin(STZ)を用いて作製する持続高血糖モデル動物は投与量と投与時期が確定したので,アナグリプチンを投与予定である. 糖尿病患者の酸化ストレスマーカーと治療薬による影響の解明に関しては、心血管イベントの発症と治療薬間の相違について検証する研究のデータを収集中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
①持続高血糖および食後高血糖モデル動物の作製と活性酸素産生増加と関連する酵素の解明に関しては,食後高血糖モデル動物については順調に遂行している.持続高血糖モデル動物については,作製方法が確定した. ②新規糖尿病薬DPP-4阻害薬の投与と活性酸素増加への効果解明に関しては,食後高血糖モデルについて現在解析中である.持続高血糖モデルについては次年度薬物投与予定である. ③糖尿病患者の酸化ストレスマーカーと治療薬による影響の解明に関しては,疫学的検証について現在遂行中である.臨床科学的検証については今年度より実施予定であったが,次年度の予定となった.
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今後の研究の推進方策 |
①持続高血糖および食後高血糖モデル動物の作製と活性酸素産生増加と関連する酵素の解明に関しては,食後高血糖モデル動物についての解析と持続高血糖モデル動物の解析を実施予定である. ②新規糖尿病薬DPP-4阻害薬の投与と活性酸素増加への効果解明に関しては,食後高血糖モデルについて現在解析し,論文作成予定である.持続高血糖モデルについては薬物投与し解析予定である. ③糖尿病患者の酸化ストレスマーカーと治療薬による影響の解明に関しては,疫学的検証について解析し,論文作成予定である.臨床化学的検証については,実施予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品費として,一般試薬類,各種酵素阻害薬,薬物投与関連試薬類,動物輸送及び飼育費を使用する. 旅費は研究成果発表の為の旅費を使用する. 謝金として臨床化学的検証への協力者への謝金を使用する. その他として研究成果投稿料,英文校正料を使用予定である.
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