食後高血糖モデル動物としてotsuka Long-Evans Tokushima Fatty(OLETF)ラットを用い,コントロールとして糖尿病を発症しない Long-Evans Tokushima Otsuka (LETO)ラットを用いた.dipeptidyl-peptidase 4 inhibitorアナグリプチンを6週間経口投与し,非投与ラットと比較した.アナグリプチンの投与はブドウ糖負荷後の血糖値の上昇を有意に抑制していた.アナグリプチンの投与はOLETFラットの血管壁の肥厚を抑制した.血管壁のスーパーオキシド産生増加はアナグリプチンの投与により抑制されていた.アナグリプチンの投与はNADPHオキシダーゼ活性を抑制していた.以上より,食後高血糖はNADPHオキシダーゼを活性化し酸化ストレスを増大し,血管障害を起こすが,アナグリプチンの投与は食後高血糖を抑制することで血管障害を抑制できることが示唆された. Streptozocin(STZ)を用いて持続高血糖モデル動物を作製し,アナグリプチンを投与したところ,スーパーオキシド産生増加は抑制される傾向であった.取り出した血管をアナグリプチンで処理しても抑制する傾向が認められることから,アナグリプチンによる直接作用が存在する可能性が残された. 食後高血糖による血糖値日内変動の大きさの糖尿病患者の動脈硬化性疾患に対する影響がみられるか検証するため,動脈硬化性疾患発症患者群を非発症群と比較し検討した.発症群では血糖値日内変動幅が有意に増大していたことより,動脈硬化性疾患発症には,血糖値日内変動幅が影響することが示唆された。食後高血糖改善薬にて血糖値日内変動幅が改善されている群では動脈硬化性疾患発症が有意に抑制されていたことから,食後高血糖改善薬で血糖値日内変動幅を改善することで動脈硬化性疾患発症を抑制する可能性が示唆された。
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