2年間の研究成果をもとに、僻地患者への対応可能なインテリジェント・メディカルデバイスを製作した。すなわち、薬物放出制御を行うプロセッサとしいて経皮投与型イオントフォトレシス(放出薬物であるインスリンを固定化した基板電極を薬物リザーバー電極とし、もう一方のリザーバー電極を皮膚からの内因性イオンを抽出可能な生理食塩液で充填した対極槽とし、これら二つのリザーバー電極をつなげて皮膚に貼付し、定電流または定電圧により薬物の放出制御する)、血糖値を分析処理するプロセッサにグルコースセンサ、家と病院をつなぐネットワーク用基地局(パソコン)に送信する近距離無線プロセッサを組み合わせ、指示に従って治療薬の注入制御を行うソフトをパソコンに組み込みこんだ。その結果、センサが治療閾の電流を感知したときに、インスリンを電気的に放出制御し、コントロールド・リリースのオートメーション化に成功した。とりわけ糖尿病疾患の患者の血糖値である100~200mg/dLの範囲内できめ細やかな薬物放出を実現でき、個人個人の対応した個別化薬物療法へ対応できた。さらに、経皮投与型イオントフォトレシスの薬物リザーバー電極に糖尿病、脂質異常症、痛風など複数の治療薬を固定し、検査値を分析処理するプロセッサ部分にもグルコースセンサ、コレステロールサンサ、尿酸センサの複数のセンサを組み込んだところ、各疾病の治療域をセンサが感知したときに、目的とする治療薬のみが放出され、各疾患を有する患者への適用が可能であることを明らかにし、治療薬物のコントロールド・リリースのオートメーション化を可能にした。
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