研究課題/領域番号 |
23590199
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
石田 功 帝京平成大学, 薬学部, 教授 (00415556)
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研究分担者 |
池本 守 帝京平成大学, 薬学部, 准教授 (90311331)
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キーワード | 組換えDNA / 血栓溶解剤 / フィブリン分解 |
研究概要 |
私たちは、ガラガラヘビ毒由来Alfimeprase、ハブ毒由来HR1のC末ドメイン、ヒトフィブリン特異的に結合するプラスミノーゲンのフィブリン結合ドメインであるfirst kringle domain(FKD)との融合体タンパク質を発現させ、そのフィブリン分解活性、血清中での安定性、血栓へのターゲッティング活性を調べることを計画している。当初計画していたブレビバチルス菌での分泌発現は不成功に終わり、平成24年度は大腸菌による菌体内発現・精製を試みた。 Alfimeprase(A)遺伝子を挿入したpET大腸菌発現ベクターを使って発現・精製法を検討した。A遺伝子のN末にSUMOペプチド(約100aa)を付加することで、菌体内に大量に発現されることを確認したが、Aタンパク質は不溶性沈殿として回収された。他のタンパク質発現実験で検討・確立した不溶性沈殿から可溶化、HisTrapカラム精製、段階的透析によるリフォールディングする方法を使って、200ml菌培養液から8mg以上の全長を含むAを精製することに成功した。次にAlfimepraseとHR1C末ドメインを融合させた(AH)遺伝子、AlfimepraseとHR1C末ドメインの融合遺伝子のC末にFKD遺伝子を融合させた(AHP)遺伝子を同様に大腸菌菌体内で発現させ、不溶性沈殿から精製することに成功した(200ml菌培養液から約3mgのAH、約2.5mgのAHPタンパク質)。しかしながら、A、AH、AHPタンパク質のFibrin, Fibrinogen分解活性を未だ明確に確認できていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、平成23年度末にはA、AH、AHP遺伝子の分泌発現を行い、各組換えタンパク質の精製が終了しているはずであった。現状では、平成24年度末時点でA、AH、AHP組換えタンパク質の発現・精製に成功したところ。未だA、AH、AHPタンパク質のFibrin, Fibrinogen分解活性が明確になっていない。この点は大変重要な点であるが、改善方法は考えてある。今後の研究の推進方策で述べる。
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今後の研究の推進方策 |
Alfimeprase(A)タンパク質はZnを含むメタロプロテアーゼであり、リフォールディング時にEDTA存在下Znイオン不含で行ったために活性が見られなかったと考えている。本タンパク質のリフォールディング時には、EDTAを加えずにZnCl2を添加して透析するべきと思われる。Fibrin、Fibrinogen分解活性を見るアッセイ系への数十μMのZnCl2の混入は活性を阻害すると考えられるため、リフォールディングした後には精製サンプルを再度ZnCl2不含バッファーで透析する必要がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
遺伝子組換え実験、遺伝子組換えタンパク質の抽出・精製、Fibrin分解活性測定、血栓分解活性測定(インビトロ、インビボ)のために、遺伝子免疫実験試薬、培養器具、培養試薬、アッセイ試薬、人血、ウサギなどを購入するための消耗品費・動物購入費を計上する。
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