研究課題
サリドマイドは近年再認可され臨床で繁用されているが、薬物動態学的な詳細情報は少ない。In vivo実験系でヒト肝移植キメラマウスにサリドマイドを同時あるいは前投与すると、ミダゾラムの消失が亢進したことから、今回ヒト初代培養肝細胞と同様の機能を有したHepaRG細胞を用いて肝代謝酵素に対するサリドマイドの作用について検討した。HepaRG細胞 をプレートに蒔き、サリドマイド添加で72時間培養後、ブプロピオンおよびミダゾラム代謝活性を測定した。リアルタイムPCRにより、活性測定を行ったHepaRG細胞のP450 3A4およびP450 2B6 mRNA量を測定した。Microarray assay for real-time analysis of coregulator-nuclear receptor interaction (MARCoNI)法により、サリドマイド、5-水酸化サリドマイド、デキサメサゾンおよびリファンピシンについて154種のcoregulator motif との反応性をModulation Index(MI)を用いて比較検討した。ミダゾラム4-及び1’-水酸化酵素活性はサリドマイド添加により、いずれも2倍程度の上昇が認められた。一方、サリドマイド5-水酸化体添加では、著しい変動は認められなかった。特にP450 3A mRNAに関してはおよそ4.5 倍の増加が認められた。MACoNI法ではサリドマイドはデキサメサゾンやリファンピシンと同様にPXRおよびCARのリガンドとして作用することが明らかとなった。以上の結果から、サリドマイドは核内レセプターを介してヒト肝薬物代謝酵素の誘導効果を有する可能性が強く示唆された。
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