研究課題/領域番号 |
23590201
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
竹内 裕紀 東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (20439912)
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研究分担者 |
平野 俊彦 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (90173252)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ステロイド感受性 / カルシニュリン阻害薬 / 薬力学的相互作用 / シクロスポリン / タクロリムス / FKBP51 / FKBP52 / シクロフィリン40 |
研究概要 |
【目的】ステロイド受容体(GR)複合体にはカルシニューリン(CNI)結合蛋白であるFKBP51、FKBP 52、およびシクロフィリン(CYP)40が存在し、ステロイドのGRに対する親和性や核内移行性に影響を与えていることから、ステロイドとCNI(タクロリムス:TAC、シクロスポリン:CYA)は、GR複合体レベルにおける相互作用があることが考えられる。そこで末梢血単核球細胞(PBMC)のステロイド感受性に与えるCNIの影響について検討した。 【方法】健常被験者30名から末梢血単核球(PBMC)を採取し、まずはメチルプレドニゾロン(MPSL)単独の濃度-増殖抑制曲線を求めた後、CYAまたはTAC単剤の濃度-増殖抑制曲線を求め、一定濃度におけるCNIの増殖抑制率を算出した。その後MPSLの濃度-増殖抑制曲線にCNIの増殖抑制率を加えたIC50 および濃度-増殖抑制曲線下面積比(CPS-AUC)を算出した群を相加群とし、MPSLとCYAまたはTACと混合培養した群を併用培養群とし、両群間でMPSLのIC50 およびCPS-AUCを比較した。【結果】MPSLのIC50およびCPS-AUCは相加群に比べ、併用培養群で有意に小さかった。またTACはCYAに比べ、有意な差はなかったがステロイド感受性に対する増強効果は大きい傾向にあった。【考察】TAC、CYA共に併用培養によりPBMCのステロイド感受性が増強することが示唆された。また、その増強効果はTACの方が高い傾向にあった。ステロイドの核内移行をFKBP51、CYP40は抑制、FKBP52は促進すると考えられるが、CYAは核内移行の脱抑制、またTACはFKBP52よりもFKBP51の関与が大きいことにより、両剤ともにステロイド感受性に対する増強効果が認められたと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(理由)ステロイド剤とCNIの併用添加によるリンパ球感受性試験は30例を予定どうり終了したが、siRNA導入によるFKBP51,FKBP52,CyP40の遺伝子ノックダウンによるステロイドのリンパ球感受性試験については、siRNA導入が思うようにできておらず、まだ実験手法の確立の段階である。既知の方法でうまく行かない場合は、今後、バブルリポソームによる超音波照射法を試みる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
siRNA導入によるFKBP51,FKBP52,CyP40の遺伝子ノックダウンによるステロイドのリンパ球感受性試験と腎移植患者のTACおよびCYA服用患者間のおける移植前(ステロイド服用前)と移植後(ステロイド服用後)のIC50値の比較による併用効果の検証を24年度、25年度で実施していく。遺伝子ノックダウンによるステロイドのリンパ球感受性試験のsiRNA導入について、既知の方法で導入効率が低い場合は、今後、バブルリポソームによる超音波照射法を試みる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度繰越し金355,057円は、導入効率が改善されない場合、FKBP51,FKBP52,CyP40のSiRNAのターゲットを再検討する可能性があり、そのためのsiRNA、およびその関連試薬の費用に充当できればと考えている。また、平成24年度予定額1,040,000円では予定どうり、腎移植患者のTACおよびCYA服用患者間のおける移植前(ステロイド服用前)と移植後(ステロイド服用後)のIC50値の比較のための感受性試験の試薬、およびFKBP51,FKBP52,CyP40の発現の抑制確認試験のためwestern blotの抗体やその関連試薬の購入に充てる予定である。
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